ルワンダの生物多様性は近年、森林破壊により大打撃を受けており、ギシュワティの森は2001年までに99%が破壊された。それから20年以上たった今、同国の在来種は絶望的な状態にあると思うかもしれない。だが幸運にも、保護区の回復に情熱を注ぐ地元企業は多い。その中でも大きな存在が、ウィルダネス・サファリズ(Wilderness Safaris)だ。
同社はルワンダで、一流のエコツーリズムが楽しめる豪華施設「ビサテ・ロッジ(Bisate Lodge)」を運営。ゴリラや絶滅危惧種のゴールデンモンキーを観察するトレッキングやサファリ、ルワンダを象徴する火山国立公園を訪れるツアーなどを提供している。
ルワンダの火山国立公園(by DANA ALLEN)
広報担当者のルーシー・ロペスによると、同社は2015年、誰も住んでいなかった42ヘクタールの農地を地元民から購入し、この施設を建てた。「ゴリラ観察のベースとなる施設を建てるだけでなく、周辺地域を自然の森林の状態に戻し、マウンテンゴリラなどの種が生存・繁栄するため必要な生息地や保護区域を提供することが目的だった」という。
敷地内には過去6年で約7万本の木が植えられ、森は力強い復活を遂げた。ビサテ・ロッジはルワンダ開発委員会(RDB)やアフリカ野生生物基金(AWF)、ダイアン・フォッシー国際ゴリラ基金など著名な機関と協力し、さまざまな土着の植物を生態系に再導入。それぞれの種に最も適した標高を見極める研究も行っている。
ギシュワティの森にはさまざまな動物が暮らしているが、中でもアフリカを象徴する大型動物がビサテ・ロッジには存在する。ロペスによると、ヘリパッドで見つかったふんから、マルミミゾウが敷地内を訪れていたことが初めて確認されたという。
「昨年は、敷地内で初めてマウンテンゴリラがカメラトラップ映像に捉えられるという感動的出来事があった。こうした動物はすべて、火山国立公園に生息しているので、私たちの植林プログラムが野生生物の生息域を大きく広げていると言える」(ロペス)