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2022.07.28

パーツは3つだけ、米国産にこだわったスニーカーの新ブランド

Getty Images

スニーカーの製造販売は、一筋縄ではいかないビジネスだ。スポーツ用品大手のナイキによると、シューズの一般的なパーツの数は23だというが、これは、ブランドがサステナビリティを前面に押し出す時代には多すぎる数字だ。そこで登場したのが、スニーカーのスタートアップ「Psudo」。同社製のスニーカーは、たった3つのパーツからできている。

Psudoを立ち上げたのは、シューズ業界のベテランで、より優れた代替策を模索するマイケル・リッチ(Michael Rich)だ。製品開発やセールス、調達などで経験を積み、靴小売・卸売大手のカレレス(Caleres Inc.)に勤務していたこともある。従来のシューズづくりを覆す人物としては、誰よりも適任だ。リッチは、無駄を省くべく、スニーカーとは何なのかをリバースエンジニアリングし、原材料については、公正な労働慣行のある米国からのみ調達した。

そうして誕生したのが、パーツの数はたったの3つというカジュアルな雰囲気のスニーカーだ。1つめのパーツであるアッパーには、使用済みペットボトルをリサイクルした素材が75%を占める繊維が使われている。この繊維「リプリーブ」は、技術の進歩に後押しされて再生繊維に注力するようになった大手ユニファイ(Unifi)の製品だ。Psudoのスニーカーが1足売れるたびに、ペットボトル7.2本が埋立地行きを免れたことになる。

写真を見ただけでは、アッパーがひとつのパーツだとは思えないかもしれない。縫い目、靴ひも、ストライプ柄、それ以外の色鮮やかで細かいデザインはすべて、3Dプリンティングで本物そっくりに再現されている。靴ひもがないため、アッパーには伸縮性が必要だった。使用されている素材はもともと、他の産業でさまざまな使われ方をしていたが、リッチとそのチームは、イノベーションの力でこれを再利用した。

「この素材がPsudoの秘密だ。伸縮性は十分だが、伸びすぎないので、形が崩れない。スニーカーのように見えるし、スニーカーのような履き心地だが、これまで履いたスニーカーとはまったく違うと感じるだろう」とリッチは力説した。その一方で、サイズ調整がまだ完璧ではないことを認めている。「100%のフィット感はないかもしれないが、ほぼフィットする」

この素材のおかげで、Psudoのスニーカーは通気性と抗菌性に優れ、洗濯機での丸洗いも可能だ。

パーツはほかに、インソールとアウトソールがある。素材はどちらも、軍事用にも使えるポリウレタンだ。万能な素材でサポート力があり、エナジーリターン(反発性)が高く、滑りにくくて耐久性もある。こちらのパーツも、50%から80%の再生素材を使用することが目標だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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