子どもたちはどちらも、同居する男性の感染がすでに確認されており、家庭内感染とみられている。男性たちはいずれも、男性との性的な関係があるという。
現在の流行において、感染者は大半が男性とセックスする男性(MSM)となっている。だが、実際のところサル痘ウイルスは、感染者の呼吸器から生じる飛沫など、ウイルスを含む体液や、病斑に触れることで感染する。
ワレンスキー所長は、「特定のコミュニティーにおいてのみ感染が広がるウイルスではないと覚えておくことが重要だ」と指摘している。
米ABCニュースは、2人のうち1人はカリフォルニア州在住の幼児で、もう1人は外国籍の乳児だと伝えている。目的地に向かう途中、経由地のワシントンD.C.で受けた検査で、感染が分かったという。CDCは、この乳児の居住地を明らかにしていない。
致死性のあるウイルスに幼い子どもが感染した場合、特に心配されるのは、その子に“より深刻な”重症化や死亡のリスクがあるのかどうかということだ。幼児の免疫系はまだ十分に発達しておらず、危険を早期に認識できない可能性がある。また、新たに侵入してきた病原体に打ち勝つ力も獲得していない。
ワレンスキー所長は、「重要なのは、この子たちが元気であるということだ」として、感染が確認された2人はどちらも、回復が見込まれていることを明らかにしている。
2人にはいずれも、天然痘の抗ウイルス薬として米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた経口薬の「テコビリマット(商品名TPOXX)」が投与されているという。天然痘とサル痘は別のウイルスだが、どちらもオルソポックスウイルス属のウイルスだ。
CDCによると、米国でこれまでに確認されたサル痘の感染者は、この2人を含めて3478人(25日現在)。報告件数が最も多いのはニューヨーク州(990人)で、カリフォルニア(356人)、イリノイ(344人)、フロリダ(273人)、ジョージア(268人)の各州が後に続いている。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長はサル痘について23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。現在のところ、すべての人にサル痘ワクチンの接種を呼び掛けることはないとされているが、特に感染リスクが高いとされる人たちは、接種しておくべきだろう。
また、子どもの感染を防ぐため、世話をする大人たちは自らを含め、感染の可能性がある人との濃厚接触を避けるなど、対策をさらに強化する必要がある。