コロナワクチン、ノババックス製は先行組「mRNA」とどう違う?

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米食品医薬品局(FDA)は先ごろ、バイオテクノロジー企業ノババックス(Novavax)が開発した新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)ワクチン「ヌバキソビッド(Nuvaxovid)」の緊急使用を許可した。

これにより、米国内で使用が認められるSARS-CoV-2のワクチンは、ファイザー/ビオンテックとモデルナ、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)/ヤンセン製と合わせて4種類となった。

ヌバキソビッドは、米国とメキシコで約1万7200人を対象に実施した臨床試験で、発症を防ぐ効果が90.4%との結果が示されている(65歳以上の高齢者を対象とした場合の有効性は78.6%)。

この臨床試験が、現在主流となっている変異株のオミクロン株や、その前に優勢となっていたデルタ株が出現する以前から実施されたものであることには注意が必要だ。だが、それでもノババックス製ワクチンの接種に伴うリスクは、感染して心筋炎や心膜炎を起こすリスクを大幅に下回るとみられている。

米国での接種の対象者は18歳以上で、3週間を空けて2回の接種を受ける。また、ノババックス製のワクチンは欧州連合(EU)では2021年12月、日本では今年4月に承認されている。

「新しい」ワクチンと「先行組」の違い


「Nova」はラテン語で「新しい」の意味。ノババックスのワクチンは、2020年末から接種が開始されたその他のワクチンと、主に次の3つの点で大きく異なっている。これらの点では、確かに“新しい”といえるだろう。

・従来の技術を採用


ファイザーとモデルナ製のワクチンは、(ウイルスがヒトの細胞に侵入するために必要な)スパイクタンパク質の設計図としてmRNA(メッセンジャーRNA)を脂質の膜に包んで投与するもの。

ジョンソン・エンド・ジョンソン/ヤンセン製は、スパイクタンパク質の設計図を増殖できないように処理したアデノウイルス(ベクター、運び手)にのせ、投与するワクチンだ。

2021年初めに接種が開始されたこれらについて、新たなタイプのワクチンであることを理由に、接種をためらっていた人たちもいる。だが、ノババックスのヌバキソビッドは以前から使われている方法を用いたものであり、その意味では、新しくはない。
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編集=木内涼子

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