軽度の新型コロナ患者の入院・死亡リスクをファイザーらの経口治療薬が減らす可能性

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米製薬会社Pfizer(ファイザー)の新型コロナウイルス感染症の経口抗ウイルス治療薬「Paxlovid(パクスロビド)」と、同じく米製薬会社Merck(メルク)の経口抗ウイルス治療薬「Molnupiravir(モルヌピラビル)」は、患者に重い症状が出ていなくても入院や死亡を防ぐ効果があるようであると新たな研究で明らかになった。米政府は新型コロナ患者が急増する中、これらの薬を利用しやすいようにしようと取り組んでいる。

プラセボ(偽薬)を服用した人に比べ、パクスロビドを服用した重症でない新型コロナ患者では1000人当たりの入院が46件少なく、モルヌピラビルを服用した患者では1000人当たりの入院が16件少ないことが医学雑誌「カナディアン・メディカル・アソシエーション・ジャーナル」に発表された系統的レビューで明らかにされた。ただ、研究者が分析した多くの研究は、感染力の強いオミクロンの出現前に行われた。

これらの数字は、パクスロビドとモルヌピラビルが「おそらく」軽度のコロナ患者の入院と死亡のリスクを減らし、一方でファイザーのパクスロビドの方が入院を減らすのにより効果的であることを意味すると研究者は指摘している。この2つの薬は2021年、米食品医薬品局(FDA)から緊急使用の承認を得ている。

また、これらの薬はプラセボに比べて軽症者の死亡を減らす可能性が高いと結論づけている。

一方、12歳以上の新型コロナ入院患者を対象にFDAが承認した最初の抗ウイルスの新型コロナ治療薬「Remdesivir(レムデシビル)」は、重症でない患者の入院リスクを減らすかもしれないが、死亡を防ぐことはできない可能性が高いという。

抗ウイルス薬は重症でない患者にとって「最も有用」かもしれないため、この研究は大きな「証拠のギャップ」を埋める、とカナダ・マクマスター大学内科部門と共同で研究を行ったタイラー・ピトレは述べた。
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翻訳=溝口慈子

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