フォードが中国CATLと安価で寿命も長いリン酸鉄リチウムバッテリーで大型契約

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60万台の内訳は北米と中国で生産されるマッハEが27万台、北米と欧州で生産されるトランジットEVが15万台、北米で生産されるF-150ライトニングが15万台、欧州で生産されるミッドサイズSUVが3万台だ。この欧州製EVは、ドイツのケルンでフォルクスワーゲンのEV専用プラットフォームであるMEBを使用して製造される。2024年まで、そのMEBベースのモデルは大幅に増産される見込みだ。

現時点でこれらの車種の何パーセントがCATL製LFPバッテリーを使用することになるのかはわからない。初期の生産はCATLの中国国内工場で行われるが、フォードは2026年までに、SK Onとのジョイントベンチャーによる129 GWhのNMCに加えて北米で40 GWhのLFPを自社生産する意向だ。

CATLのLFPバッテリーが加わることで、フォードは2023年末までの60万台に必要なバッテリー供給を100%確保したことになる。さらに同社は、2026年後半までのEV生産目標200万台に必要なバッテリーの70%も確保した。

フォードは、同社のサプライヤーであるLG、SK、CATLおよびジョイントベンチャーのBlueOvalSK(ブルーオーバルSK)がセル生産に必要な原材料を確実に確保できるために、GM、VW、BMWなどの例にならって、原材料調達への直接投資も行う。同社はVale Canada(ベール・カナダ)、PT Vale Indonesia(PTベール・インドネシア)、Huayou Cobalt(ホワヨウ・コバルト)、およびBHPらとニッケル供給の契約を結んでいる。フォードはリチウムの供給契約もオーストラリアのLiontown Resources(ライオンタウン・リソーシズ)およびRio Tinto(リオ・ティント)と結んでいる。リオ・ティントとの契約は、銅、アルミニウムの供給を含む複数金属契約の一部である。

過去2年間のサプライチェーン問題が示すように、単一供給源に依存することは大きな問題になる可能性が高いため、フォードはリチウムを含めカソード材料の現地供給も進めている。EcoPro BM(エコプロBM)およびSKとは、カソード材料生産の基本合意に達している。さらにフォードは、Ioneer(イオネア)およびCoampass Minerals(コンパス・ミネラルズ)と北米におけるリチウム供給の契約を結び、Syrah resources(シラー・リソーシズ)およびSKとは、ルイジアナ州工場向けにグラファイト供給を契約した。すでに発表されているRedwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)とのバッテリーリサイクルの契約からも追加の原材料が得られるはずだ。

翻訳=高橋信夫

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