自分の配送ビジネスを確立するためのRTOプログラム
また、DSPプログラムの延長として、アマゾンは新たにRTO(ロードトゥーオーナーシップ、Road To Ownership)プログラムも開始する。RTOは、アマゾンDSPの参加者がキャリアを伸ばし、自分の配送ビジネスを確立するための16週間の新しいトレーニングおよび開発プログラムだ。アマゾンはこのプログラムを「ファシリテーターによる授業、カスタマイズされたオンライン学習モジュール、現役のDSPオーナーによるメンター育成セッションを含む複合学習体験」だという。
このプログラムのユニークな点は、16週間を終えた時点で、受講者に自分のビジネスプランをアマゾンにプレゼンテーションする機会を与えられることだ。それに加えて、各卒業生はビジネスを始める際のスタートアップ費用や生活費として、3万ドル(約408万円)の助成金を受け取る。
このプログラムが、アマゾンにとって配送ドライバーのネットワークを継続的に拡大し、エコシステムに投資するビジネスオーナーを育成するために役立つことは間違いないだろう。また、自分のビジネスを始めたい人にとっても、これは絶好の機会だ。ビジネスを始めようと思っても、何から始めたらいいのかわからないことは多い。よってDSPのネットワークを通じてスキルアップの機会が提供されることは大きな変革の契機となるだろう。このことは、大きなチャンスの出現とキャリアの変化がいたるところで目にされている今こそ注目されるべきだと思う。このようなプログラムは政府からしか提供されないように思われがちだが、ビジネス成長を促す最も成功するプログラムは、多くの場合、成功した企業自身から提供される。
今後、RTOプログラム修了者の声を聞くのが楽しみだ。アマゾンDSPの一員でありSafeSmart Shipping(セーフスマート・シッピング)のオーナーでもあるジェームス・バンクは、「このプログラムを通じて、私たちはDSPネットワークの才能ある人々にスキルアップとスキル見直しの機会を提供し、彼らのキャリア願望を実際のキャリアアップにつなげていきます。新進気鋭のチームメンバーがDSPオーナーシップで成功するためのすばらしいプログラムなのです」と語っている。
テクノロジーリーダーとしてやるべきこと
毎日何十万人ものドライバーを走り回らせているアマゾンとそのパートナーは、新しい技術を導入してドライバーの安全を可能な限り確保すべきだ。なんといってもアマゾンはテクノロジーリーダーなのだ。アマゾンは、中小企業への投資を続け、スキルアップの機会を与えることが、自身の成功につながることを理解しているだろう。フリートエッジの導入により、何千人ものドライバーを危険な状況から救い、安全性を高めることができることはすばらしいことだ。
多くの人は、アマゾンを利益を生み出すためにフル回転する機械だとみなしていると思うが、アマゾンDSPプログラムのように、立ち止まってその価値を認めるべき良い点もある。どちらの観点もカバーされていることが重要なのだ。アマゾンは、パートナーの安全を守るために、ソフトウェアとハードウェアのエコシステムに多大な投資をしている。フリートエッジのような技術が、アマゾンがDSPプログラムパートナー向けに投入する新しいツールや技術のほんの始まりに過ぎないことを期待したい。とりあえず、アマゾンを褒めておこう。