アマゾンが配送ドライバーの安全性を向上させる「フリートエッジ」技術を発表

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フリートエッジでDSPドライバーをサポート


道路の工事による変化や、適切な道路標識がないことなどは、ドライバーならしばしば経験する。こうした絶え間ない変化は、ドライバーのストレスや安全上の問題、そして顧客向け荷物の配送の遅れにつながっている。私にも、制限速度を守って高速道路を走っていたのに、気がついたら新しい工事区間に入っていて制限速度を何十キロもオーバーしていた、という経験がある。道路が突然行き止まりになっていた場合には、Uターンや地図に載っていない場所での自力ナビゲーションなどの、安全上の問題が発生する可能性がある。

先月アマゾンは、フリートエッジという機能でDSPドライバーのサポートを強化することを発表した。フリートエッジとは、新しい工事現場や道路、交通標識の周辺で、安全なルートをドライバーが自動的に見つけることができるようにする新しい地図・経路検索技術だ。地図ソフトで道路情報を常時更新し、最新のデータを配送ドライバーに配信し、危険なルートを回避するために自動的にコースを修正する仕組みが提供される。フリートエッジは、車載コンピュータ、ストリートビューカメラ、GPSレシーバーという重要なコンポーネントで構成される。アマゾンによると、フリートエッジの開発と試験運用は2年以上前から行われていたそうで、今回のプロジェクトでも真剣に開発・テストに取り組んだように思える。

アマゾンは、今回の提供を裏づける興味深い統計データを引用している。そのうちの1つが、ここ数カ月でアマゾンの地図システムに3万3000以上の新しい標識が追加されたことだ。また、アマゾンは、テストエリアにおいてGPS位置情報の精度が260%向上し、曲がるべき場所をより早く知らせることで安全性が高まったと主張している。フリートエッジの発想はおもしろい。技術は単純ではないものの、その結果はわかりやすい。

アマゾンが電気自動車(EV)の車両展開を進めていく中で、今後さらにフリートエッジ上での開発が進められると考えている。自動車業界全体が先進運転支援システム(ADAS)や自動運転車(AV)に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めているが、私はフリートエッジにはインテリジェントな運転空間の中で活躍できる場があると考えている。フリートエッジは、アマゾンがドライバーの安全を確保し、ビジネスパートナーの運転効率を向上させるための巧妙な技術だが、アマゾンがこのまま投資を続ければ、アマゾン配送の未来に破壊的革新を呼び込む可能性がある。
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翻訳=酒匂寛

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