医療に関する知識不足 米国ではいまだ広く存在

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「ノーサプライズ法(No Surprises Act)」など、米国人を予期しない医療費の支払いから守る取り組みが効果を発揮し始めているかもしれない。

健康保険会社の米事業者団体であるAHIPと健康保険企業連合のブルークロス・ブルーシールド・アソシエーション(BCBSA)が先日行った調査からは、2022年1月から2月の2カ月間で約200万件の予期せぬ請求が回避されたことが示された。

さらに、雇用主が出資する健康保険を持つ1000人以上の米国の労働者を対象とした新たな調査では、消費者が不正確な医療費を拒否するようになっていることが示されている。

従業員福利厚生を扱う企業オプタバイズ(Optavise、旧ダイレクトパス)が先日発表したデータによると、回答者の約3分の1(35%)は過去3年間で間違った請求書を受け取ったことがあると答え、そのうち87%はそれを拒否し、正しい請求書を新たに発行するよう依頼していた。

一部の回答者は、間違っていると知りながらも不正確な請求書に支払いを行なっていた。このうち70%は、間違いを正す努力をするほどの額ではなかったことが理由だと答えていた。これは、2021年に同調査が行われたときの43%から大幅に増加している。

他の30%は、どのように正せばよいか分からなかったことを理由として挙げた。これは2021年の52%から大きく減っていて、米国人が医療費に関する知識を増やしていることを示唆しているかもしれない。

状況が改善していることを示すこうした潜在的な兆候にもかかわらず、米国人の間に存在する医療に関する知識の大きな格差は今も消えていない。

大半の調査回答者(71%)は鍵となる健康保険の概念を理解していると答えていたが、10%は「保険料」(保険の補償のため支払う定額の月額料金)が何かを理解していない、あるいは「自己負担額上限」(控除免責金額、自己負担金額、共同保険料金として支払わなければならない額の上限)が何か分からないと答えていた。

また8%は、「in-network(提携先)」と「out-of-network(非提携先)」の意味を知らないと答えていた。これは、医療サービス提供者が健康保険会社と契約を結んでいるかどうかを示している。

多くの回答者は、健康保険の概念を自己学習している。インターネットやその他のリソースを通じて自己学習を行っていたのは34%で、雇用主の人事部を通して健康保険について学んだ人はわずか30%だった。これは、2021年の37%から減っている。

同調査では、人々が健康保険の管理方法を学ぶことを望んでいることが示唆された。回答者の39%は予期せぬ医療請求を避ける方法を理解したいと答え、33%は費用分担の仕組みを知りたがっていた。

その支援を試みている雇用主もある。同調査によると、回答者の53%は勤務先の会社が健康関連の福利厚生に関し、従業員教育のためネットリソースを提供していると答え、4分の1は雇用主がプレゼンテーションや外部の福利厚生専門家との1対1の会話の機会を提供していると答えた。

それでも、オプタバイズの顧客サービス担当副社長であるキム・バッキーは、雇用主がより多くの取り組みを行う必要があるとし、「会社が医療サービスに浪費し過ぎないようにするには、健康保険をどのように選び活用するかについて、従業員が正しく時宜にかなっている矛盾のない情報を受け取ることが欠かせない」と述べた。
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翻訳・編集=出田静

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