ローリングストーンズといえば、その音楽面における功績は言うまでもないですが、ロックの巨大産業化に貢献したことでも知られています。彼らは世界でもトップレベルのエンターテイナーながら、ビジネスの素質にも長け、世界ツアーともなれば動く金は大企業と引けを取らないレベルともいわれています。
その陰には、約40年にわたりバンドの財務面を支えた敏腕マネージャーの存在があったのです。
そのマネージャーの名は「ルパート・ローウェンスタイン」。ドイツ・バイエルン地方に先祖を持つ貴族出身で、ロンドンを拠点とする投資銀行家でした。1968年に知人を通してミック・ジャガーと知り合った彼は、ローリングストーンズの財務アドバイザーを務めることになります。
ミックは当時のストーンズのマネージャーだったアラン・クラインがバンドの売り上げをほとんど横取りしていることを懸念していました。
その当時、ストーンズはすでにシングル・アルバム含めヒットを生み出していたにもかかわらず、クラインが著作権を乗っ取っていたため、彼らに入るお金は0円だったというのです。
その後、法律や財務に精通していたローウェンスタインは、ストーンズの運営に様々な提案をし、極悪マネージャーのクラインを解雇、さらに新レーベル設立にも尽力します。そして、当時アルバムのプロモーションと位置付けられていたツアーを音楽産業化することにも務めました。
ちなみに、誰もが一度は見たことあるであろうストーンズの「ベロマーク」。このマークをストーンズとともにグローバルブランドへ仕立て上げることにも尽力し、数カ国でマークの著作権確保に力を入れたのもルパートです。
おもしろいのが、ルパートは生涯ストーンズの音楽に興味を示さなかったこと。ロックファンでなかったからこそ、冷静な目線でビジネスができたのかもしれません。
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