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2022.07.25 11:30

虫の魅力は「食べる」から分かる。地球少年・篠原祐太の野望


──その結果2015年に生まれたのが、「ラーメン凪」と一緒につくったコオロギラーメンですね。
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僕がもともと人気ラーメン店「ラーメン凪」の大ファンで、Twitterで何気なく「今日も凪うまかった」という投稿をしたら、社長の生田さんが「虫食べてる人ですよね」とリプライしてくれたんです。

思いがけないことに舞い上がって、「いつか虫のラーメンもつくってみたいと思っています」と返信したら、「それ、やろうよ」と。引くに引けないままあれよあれよと話が進み、僕が用意できるあらゆる種類の虫の出汁を取るなど試作を重ねて、最終的にコオロギラーメンが完成しました。

僕はそれだけでも十分だったのですが、コオロギラーメンを凪の店舗で出す機会をつくってくれて。人気店なのでクレームが来るとまずいと思ったのですが、生田さんは「そんなことを気にしていたら新しいものをつくれない」と言って、背中を押してくれました。
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そのときに、本当に新しいものをつくっていく人は、いろいろ言われたとしても気にせずつくりたいものに本気で向き合っていくのだということを知りました。

そこからは僕も腹をくくり、将来お店を持つことも本気で考えるようになっていきました。その際に、つくりたいものには妥協せず、「面白い」と自信を持てるものだけを出すことを、自分との約束として決めました。



目指すのは食を通じた「地球の冒険」


──レストラン「ANTCICADA」では、コース料理が中心で、日曜日だけ「コオロギラーメン」を提供しています。コース提供を選んだ理由は?

コオロギラーメンだけでは面白いラーメンを食べたというだけで終わってしまうことが多いからです。僕が伝えたいのは、地球上にはいろいろな生き物がいて、それぞれの生き物が個性を持っているということ。

そのことを体感してもらうには、昆虫食という括りだけでは狭い。昆虫に限らず、食材の幅広さを伝えられる食事の機会をつくるために、2020年のお店の立ち上げ時からコース料理を提供しています。

実は今、このコース料理の方向性を少し変更しているところです。オープンから2年間は、昆虫食というまだまだ未知な領域を開拓していきたいと昆虫を中心にしたコース料理を打ち出していましたが、本当はもっと幅広く生き物の魅力を知ってもらいたい。

そこで、徐々に「地球食」としての食体験の提供にシフトしていっています。ジビエや鯉などの食卓にのぼりにくい食材を使用するだけでなく、調理法も工夫し、普段食べている野菜や肉も「こんな使い方があったのか」という新鮮な驚きを感じてもらいたいと思っています。

食を通じて地球を冒険するような体験機会をつくっていきたいですね。
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文=三ツ井香菜 取材・編集=田中友梨 撮影=山田大輔

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