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2022.07.23 07:30

暗号通貨取引所Kucoinがサスケハナから資金調達、評価額100億ドル

Getty Images

暗号通貨取引所のKucoinは7月21日、米国のビリオネアのジェフ・ヤスが共同創業した投資会社サスケハナ・インターナショナルから1000万ドル(約14億円)を調達したと発表した。

今回の調達は、5月に発表されたKucoinの1億5000万ドルの資金調達ラウンドのエクステンションという位置づけだ。同社によると、サスケハナからの調達にあたっての評価額は、5月のラウンドと同じ100億ドル(約1.4兆円)だったとのことで、これは他の多くの暗号通貨関連の企業が、評価額を引き下げている中で特に注目される。

Kucoinは声明で、新たな資金を取引プラットフォームやプロダクトの強化、グローバル事業の拡大に注ぐと述べた。同社はまた、現在1000人のチームに新たに300人のスタッフを加える計画だ。さらに、サスケハナと組んで、Kucoinのブロックチェーンに参加する他のスタートアップを支援するインキュベーションプログラムを立ち上げる予定という。

「新たな資金で当社はWeb3でのプレゼンスを拡大し、たとえ市場の低迷が長引いたとしても、それを乗り切っていく」とKucoinの共同創業者でCEOのジョニー・リュー(Johnny Lyu)は述べた。

5月に韓国発のステーブルコインTerraUSDとその姉妹トークンのLunaが崩壊し、600億ドルが消滅したことで始まった暗号通貨市場の暴落は、シンガポールのThree Arrows Capitalを債務超過に追い込み、Celsius NetworkとVoyager Digitalを含む債権者に多額の損害を与えている。さらに、21日には取引所のZipmexが、一時的に引き出しを停止する事態に発展した。

セイシェルに拠点を置くKucoinも、出金停止を計画中という噂が流れたが、同社はこの噂を否定した。「当社のビジネスは依然として拡大を続けており、先週はユーザー数が207の国と地域で2000万人を突破し、市場の低迷にも関わらず年初からの6カ月間の取引ボリュームが2兆ドルを超えた」と同社は発表した。

リューは、暗号通貨市場の回復が早くても2023年以降になると考えているが、Kucoinが長引く冬に備え、十分な準備を行っていると述べた。

5年前にシンガポールで設立されたKucoinは、暗号通貨のレンディングやNFTのトレーディング、さらに暗号通貨とブロックチェーン分野の企業への投資も行っている。CoinGeckoによると、Kucoinは1日あたり13億ドルのスポット取引を扱い、取引ボリュームで世界トップ10の取引所に入っている。

編集=上田裕資

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