ライフスタイル

2022.07.22 12:30

変異で強まる抗体回避力 懸念されるオミクロン株「BA.2.75」


それは、感染後に回復した患者の血清には、その人が打ち勝ったばかりのウイルスの増殖を抑制するよう設計された抗体が多く含まれており、ウイルスは再びヒトに感染するためには、そうした抗体を回避する力を持つ必要があるためだ。つまり、ウイルスは大幅に変異しなければならない。

“いたちごっこ”は続くが──


モノクローナル抗体は、スパイクタンパク質の特定のアミノ酸に結合することで、そのウイルスの細胞への侵入を防ぐよう設計されている。だが、ウイルスがあまりに大きく変異してしまえば、結合ができなくなる。この2年半、このウイルスの変異と抗体の開発の“いたちごっこ”が、続いている。

こうしたなかで、世界中の研究者たちは、より幅広い変異型を中和できる、つまり、あらゆる変異株に打ち勝つ可能性がある抗体の特定や開発を急いでいる。

私たちにとって朗報といえるのは、仏パスツール研究所の研究者が「Cv2.1169抗体」を発見するなど、すでにそのような抗体がいくつか特定されている可能性があることだ(ただ、それらが「BA.2.75」などを認識し、中和するかについては、まだ明らかにされていない)。

さらに、第二の解決策となり得るのが、異なるモノクローナル抗体を幅広く組み合わせて使用することだ。既存のすべてのモノクローナル抗体が、最新の変異株を中和する力を完全に失ったわけではない。新たなモノクローナル抗体の開発も、前進を続けている。

短期的には感染者を救う方法として、そして長期的には感染を防ぐ方法として、モノクローナル抗体への期待は大きい。

編集=木内涼子

ForbesBrandVoice

人気記事