Driver Technologiesの共同創業者でCEOのRashid Galadanciによると、Driverアプリはカメラと人工知能(AI)を組み合わせ、スマートフォンを単なるドライブレコーダーから運転支援システムにレベルアップさせたという。同社は、これを「MADAS(モバイル先進運転支援システム)」と呼んでいる。
「当社のアプリは、前方の車両や歩行者などの障害物を監視するほか、車線を検知したり、障害物との距離を把握する。また、ドライバーの眠気や注意力、携帯電話の使用などを監視し、危険と思われる場合は警告する」とGaladanciは説明する。
これらの機能は、無料版アプリでも利用可能だがDriver Technologiesは7月12日に月額4.99ドルの有料版をリリースした。
有料版は、モバイルアプリ「Honk」との提携により、全米のロードサイドアシスタンスを利用できるほか、GasBuddyを介してガソリン代の値引きを受けることができる。また、走行中の映像を保存してソーシャルメディアで共有したり、事故などの際に警察や保険会社とデータを共有できる。
有料版は、一般ドライバーだけでなく、フリート業者もターゲットにしている。従来、フリート業者はドライバーの行動監視やロードアシスタンスのための管理システムに多額の投資を行ってきた。
「既存のフリート管理システムは、業者の実情に合っていない。彼らの99%は零細業者であり、月額700ドルのハードウェアなど必要としていない」とGaladanciは話す。
「シリコンバレーは、自動運転車を盛んに宣伝しているが、私は2016年の時点で、それが実現したとしても米国の限られた地域だけで、世界中に普及するものではないことに気が付いて恐怖を覚えた」とGaladanciはDriver Technologiesを設立した動機を語る。
あらゆるドライバーが活用できる技術
Galadanciは、ニューハンプシャー州と父親の故郷であるナイジェリアの両方で育った。彼は、もともと車の安全性に興味を持っていたが、父親がナイジェリアで衝突事故を起こし、相手が亡くなったことでさらに関心を強めたという。父親はボルボを運転しており、強固なボディによって命が助かったという。
Galadanciは、こうした現状を踏まえ、かねてより興味のあったコンピューターテクノロジーを使って、あらゆる所得層のドライバーを守る安全技術の開発を思い立ったという。
2018年にDriver Technologiesが設立されて以降、Driverアプリは170ヶ国以上で20万回以上ダウンロードされたというが、Galadanciは競争上の理由から詳細なユーザーデータを開示していない。
投資家たちは、Driverが急成長を遂げることに賭けているようだ。Driver Technologiesは、昨年実施したシリーズAラウンドで、IA CapitalやLiberty Mutual Strategic Ventures、State Auto Labs/Rev 1、The Social Entrepreneurs’ Fund、C2Ventures、Kapor Capitalなどから1000万ドル以上を調達した。
「誰もが安全技術の詰まった高額な自動車を買えるわけではないが、スマートフォンなら誰でも持っている」とGaladanciは語った。