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2022.07.23

長期投資の定番ポートフォリオ「株式60/債権40」は現在も有効

Golden Dayz / Shutterstock.com

「株式60%/債券40%ポートフォリオ」は、堅実なポートフォリオ構築手法として広く認められた戦略だ。だが、2022年に関して言えば、その実績は壊滅的だ。株価は大きく下がったし、債券も、考えうる限り最悪の記録を更新している。ここに、購買力を奪っているインフレを加えると、実際のリターンはさらに悪くなる。

こうなると、もはや60/40ポートフォリオを捨て去りたくなるかもしれない。しかし、長期的なリターンの見込みは、そこそこ堅調だ。それどころか、2022年のここまでの展開により、このポートフォリオ構築手法の長期的な見通しは、むしろこれまでより良くなっているとみられる。

60/40ポートフォリオを裏付ける理論


60/40ポートフォリオとは、長期投資の際に、資産の60%を株式(たいていは、分散化されたインデックス投資)に、残り40%を債券に振り向けるというものだ。十分な実践に裏打ちされた、「一度設定したあとは何もしなくていいポートフォリオ」といえる。

これを裏付ける理論も、筋が通っている。株式はこれまで、長期で見ると魅力的なリターンを叩き出してきたが、それと引き換えに、短期的に株価が大きく変動するリスクがある。投資家はこうした乱高下に、胃の痛い思いをさせられることもあるだろう。一方、債券は、長期的なリターンこそ株式より少ないが、ポートフォリオに安定感をもたらすことができる。

投資家はそれぞれに異なった戦略をとってしかるべきだが、60/40ポートフォリオは、長期的に見た場合の株式の魅力を手にしつつ、ある程度はリスクを平準化するアプローチを可能にしたもので、多くの投資家にとって受け入れやすい戦略と言える。

2022年は、60/40ポートフォリオにとって受難の年だとはいえ、ある程度はその役割を果たしていることは、指摘しておくべき点だ。債券は株式と比べるとまだ持ちこたえているため、60/40ポートフォリオの実績は、株式への投資割合が多い他のポートフォリオを上回っている。

第2に、60/40ポートフォリオで採用されるケースが多い、分散化した株式投資は、極端に偏った投資戦略と比べてリスクが低いことが判明している。グロース株やIT株、あるいは暗号資産といった、特定のタイプの資産に大きな割合を割いたポートフォリオは、2022年に入って壊滅的な状況に陥っている。これと比べると、バランスのとれたエクスポージャーを指向する60/40ポートフォリオの方が持ちこたえている。

もちろん、プラスのリターンを得たいというのはすべての投資家に共通する心情だが、2022年に入って、この願いをかなえるのは非常に厳しい状況となっている。しかしその中でも60/40ポートフォリオは、他の多くのポートフォリオ構築手法と比べると、資産価値の目減りが少ない。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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