技術は人を不幸にするのか?

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クシュレブはこれまで、幸福と技術をめぐるさまざまな仮説を検証してきており、それにはスマホの使用がほかの活動に置き換えられてしまったとする「置換」説や、スマホがほかの活動時に同時に使われているとする「干渉」説、スマホによってこれまでできなかった活動が実現したとする「補完」説がある。

多くの人は、自分が一日に携帯電話の画面を見て過ごしている時間を知って驚くだろう。この時間は、運動や睡眠、人との直接的な交流に使えるはずのものだ。このことから、罪悪感のようなコンプレックスが生じる。より大きなメリットをもたらす活動の代わりに携帯電話を選択することで、幸福度は向上しない。

「幸福をもたらす大きな要素の一つは、友人や家族といった他者と時間を過ごすことだということが分かっている。しかし、友人や家族ではなく携帯電話に気が取られると意義が感じられなくなる」

オフィス勤務の再開が進み、ハイブリッド型勤務が多くの組織の標準となる中、リーダーは技術と幸福の関係について優先して検討すべきだ。

「私たちは、対面の方がバーチャルよりもよいことを学んだ一方で、ハイブリッドモデルが非常に有用になり得ることも学んだ。新型コロナウイルスが流行する前でさえ、ハイブリッド型の職場に関する研究からは、この働き方が両方の良い部分を組み合わせたものになり得ると示唆されていた」とクシュレブは指摘した。

技術が職場での幸福度を上げているのか、それとも損なっているのかを考えるリーダーは、対面と遠隔勤務の必要なバランスについても同時に考えるべきだ。本当の幸せ、そして職場でのエンゲージメントは、組織が技術の活用と、企業文化や目的、戦略、対面コミュニケーションとのバランスを取る上での一要因となる。

編集=遠藤宗生

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