BA.4とBA.5が、過去に主流となった変異株以上に感染者の重症化につながっているのかどうかについては、まだ明らかになっていない。ただ、ワクチンが感染を防ぐ効果は低下したこと、それでも入院・死亡を防ぐ効果は保たれているとみられることは、すでに報告されている。
ワクチンとコロナ後遺症
たとえ軽症だったとしも、新型コロナウイルス感染症(Covid-19)には後遺症のリスクがある。「ロング・コビット(Long Covid)」と呼ばれるその症状には、倦怠感、息切れ、ブレインフォグ(脳にモヤがかかったような状態)など、さまざまなものがある。
後遺症は、数カ月またはそれ以上の長期にわたって、日常生活に大きな支障をきたすものだ。そして、先ごろ米国医師会雑誌(JAMA)に発表された研究結果によると、ワクチンが後遺症の発症を完全に防ぐことは、できないとみられる。
この研究は、イタリアの医療従事者2560人のうち、感染後も入院不要だった739人(無症状の感染者が89人)を対象に行ったもの。後遺症を報告したのは、このうち229人だった。
この研究において「後遺症」と定義したのは、Covid-19によって発症し、その後4週間以上にわたって続いた症状。そのため感染時に症状があった人のみを観察した結果となっている(実際には、無症状でも後遺症に悩まされるケースがあることが、すでにわかっている)。
一方、論文の著者らはこの研究結果から、ワクチン接種の回数が多いほど、後遺症が残る可能性が低くなることを確認した。調査対象とした医療従事者のうち、後遺症を訴えた人の割合は、次のようになっている。
未接種─41.8%、1回接種─30%、2回接種─17.4%、3回接種─16%
この結果から、ワクチンは接種完了後に追加接種を受けた場合において、後遺症が残る可能性を最大24~25%引き下げることができたと考えられる(使用したのはファイザー製「BNT162b2」ワクチン)。