その背中痛、鬱、姿勢のせい? 「WYTエクササイズ」で整える

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悪い姿勢を治すには


悪い姿勢を矯正するには、まずは姿勢矯正デバイス、背中のサポートベルトやコルセット、理学療法などに頼るべきだとヴェルマ医師は言う。「それでも体の痛みと崩れた姿勢が続くようなら、変形性脊椎症の治療に詳しい脊椎外科医に診てもらうべきだ」

姿勢矯正デバイスとは、背中に貼りつけて装着し、猫背など姿勢が崩れてくると、優しく振動して知らせてくれる小型のデバイスだ。今のところ、姿勢矯正デバイスによって姿勢が改善されるというデータはないが、悪い姿勢への自覚をうながすのには有効だとヴェルマ医師は言う。「まずはそこから取り組んでみるのがいいだろう」

姿勢矯正ツールや理学療法以外の、正しい姿勢を習慣づける方法を以下に紹介する。

・正しい姿勢を常に意識する

「正しい姿勢を身につけるには、壁に背中をつけて立ち、頭・肩甲骨・胸郭・仙骨が壁に沿って一直線になった感覚を体で覚えることだ」とカッツマンは言う。「その状態で深い腹式呼吸を練習すると、背中をまっすぐに保てるようになる」

また、緊張した筋肉を意識的にリラックスさせることも大切だ。「より良い姿勢を身につけるには、首やその他の収縮した筋肉を弛緩させる必要がある」とジャンは言う。「首の緊張に気づいて、本来の自然な位置に戻すことが特に重要だ」

・机と椅子、パソコン画面の位置を調整する

パソコンを使うときは、画面を目の高さに合わせ、両足を床またはフットレストに置き、腰と背中を椅子の背もたれでしっかり支えるようにする。仕事はもちろん、趣味でパソコンを楽しむときも、適切な人間工学の実践が姿勢習慣に大きな影響を及ぼす。

・立ち方と座り方に気をつける

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立っているときは、両足を腰幅に開いて均等に体重をかけ、肩を開いて力を抜き、お腹を引っ込め、膝の力を適度に抜いて、頭が背骨の真上に乗るように意識しよう。座っているときも、それがテレビの前であれ、携帯電話やノートパソコンを操作しているときであれ、姿勢が崩れたり肩が前に出たりしないように気をつけよう。

・太極拳をやってみる

太極拳は健康維持、瞑想効果、ストレス軽減、護身などに役立つ全身運動で、姿勢改善の効果もある。ニューヨーク太極拳スクールで太極拳を指導するジョージ・コルメンディによると、「太極拳は、一連の動作と姿勢をゆったりと流れるように行うものだ。筋力に頼るエクササイズとは異なり、太極拳の優雅な動きはリラクゼーション、重力との調和、健康的なエネルギーの流れ、体の中心から自然に導き出される心身の一体感などに重きを置いている」

・深い呼吸を習慣づける

カッツマンによると、深呼吸は身体的な気づきを高め、体を正しい姿勢に導くのに役立つ。お腹、胸郭、胸を満たすように深く息を吸い込み、骨盤底筋と腹筋を引き締めながら肩を後ろに下げて息を吐く練習をしよう。

・姿勢を意識しながら体を動かす

カッツマンは、良い姿勢づくりに重要な体の部位を強化するのも効果的だと言う。たとえば、腕と肩を動かしてW、Y、Tの字をつくる「WYTエクササイズ」などは、上背部・肩・胴体の筋肉の動きをしなやかにするのに役立つ。

「まず、体幹周辺のコアマッスルを意識しながら、両腕をWのポジションに動かし、同時に肩甲骨を後ろに下げる」とカッツマンは言う。「次に、両腕を高く上げてYをつくり、同時に肩甲骨を後ろに下げる。それから、腕を水平に伸ばしてTをつくり、手のひらを上に向け、このときも肩甲骨を後ろに下げるようにする」

一方、「アレクサンダー・テクニークと同様、ヨガやピラティスを実践するのも役に立つ」とジャンは言う。「長期にわたって筋肉の反応を高め、柔軟に保つように心がけたい」


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翻訳・編集=大谷瑠璃子/S.K.Y.パブリッシング/石井節子

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