Shelf Engine
生鮮食品をはじめとする足がはやい商品の需要予測分析サービスを提供する、2015年創業のシアトルベースのスタートアップです。既にKroger, Walmartといった大手食品小売店をはじめ、1,000店舗以上で導入されており、2021年5月にはGeneral Catalystをリード投資家として4100万ドルの資金調達(シリーズBラウンド)を発表しています。
社会的課題
Shelf Engineは米国におけるフードロス問題の解決をミッションとしています。米国にはドギーバックなどの余った食品を持ち帰る文化はあるにも関わらず、以下のグラフのとおり2016年時点でアメリカの人口一人当たりフードロスは対日本で1.3x、国全体としては3x以上という膨大な量になっています。
海外における食品廃棄物等の発生状況及び再生利用等実施状況調査(グラフは農林水産省にて加工して作成)
こうした状況に対して、Food Loss and Waste 2030 Championsによれば、2015年にUSDAとEPAが掲げた2030年までにフードロス半減という目標に、50社近い大手食品製造・流通事業者がコミットしています。また、2016年に有機性廃棄物の廃棄を禁じる法律がカリフォルニアで制定されるなど、課題解決に向けて社会的関心が高まり、制度にも落とされてきていることが分かります。
データ駆動型の事業モデル
対象店舗の属性・実績データ(店舗の立地、商圏人口、過去および日次の販売実績など)、販促データ(過去および今後予定している販促計画)、外部環境データ(地元で開催されるイベント、ニュースのトレンド、天気、祝日や学校のスケジュール)といった多くのデータポイントから、SKUや店舗の種類に関わらず、日次で予測売上モデルを設計することができます。
需要予測自体は目新しくはありませんが、こうして特定ユースケースで先行的に事業を拡大し、データを蓄積して、機械学習モデルを磨き込んでいくことで、後発のプレイヤーと差別化されていきます。
事業の組立順序
当初、Shelf EngineはSaaSとしてサービス提供していましたが、一定の学習を経て確実に効果が出せるとなった段階で、発注に伴うリスクとリターンを自社で引き受けるResults-as-a-Service(RaaS)モデルに移行しています。
SaaSよりもさらに一歩踏み込んだ顧客の成功へのコミットメントを体現するモデルで、Shelf Engine自身がベンダーから仕入れ、小売店で売れた分だけ課金し、過剰発注による廃棄コストはShelf Engineが負う形になります。
廃棄削減で創出された余剰を、リスクを負うShelf Engineサイドに厚めに配分するモデルになっています。逆に、小売店サイドはリスクを最小化しつつ、収益アップも見込めるモデルになっています。
Shelf Engine First Strike Pitch Deck