米国では、大半の州でスポーツ賭博を禁止した「プロ・アマチュアスポーツ保護法」が2018年に無効とされるまで、スポーツ賭博を合法とする州は少なかったが、今では30以上の州で合法化されている。スポーツ賭博は昨年、賭け金総額約572億ドル(約7兆9000億円)から約42億9000万ドル(約5900億円)の収益を生んだ。
スポーツ賭博サイト「ウェイジャートーク(WagerTalk)」の共同オーナーで副社長のケリー・スチュワートは、一流ハンディキャッパー(スポーツ賭博分析者)だ。カンザス州マンハッタンで育った彼女は、おばに連れられてカンザス州立大学のフットボールの試合を頻繁に観戦。最初のスポーツ賭博では、父親からアドバイスを受けた。
ラスベガスに住んでいた2011年9月、学生フットボールで劣勢の3大学に賭け、100ドルの掛け金で8500ドル(約110万円)を手に入れたことで有名となった。これが彼女の「人生を変えた」といい、ナイトクラブの仕事を辞めてスポーツ賭博番組の司会者やハンディキャッパーになった。
スチュワートは、女性がスポーツ賭博産業の拡大の鍵だと述べている。スポーツ賭博に興じる女性が増えた大きな要因は、カジノで対面で行うギャンブルからモバイルアプリへの移行だ。「手元の端末ででき、質問があっても隣の人に尋ねる必要はなく、単にネット検索すればよいため、敷居が下がった」とスチュワートは語る。
ウェイジャートークの訪問者は18%が女性で、今年のこれまでの売上高の11%は女性からのものだ。2019年同時期の女性比率は、訪問者が9%、売上高ではわずか2%だった。
スチュワートによると、スポーツ賭博をめぐる状況は過去10年で大きく変わった。スポーツをする女性が増えただけでなく、女性の間でのスポーツファン層も拡大し、合法化によってギャンブルに興じる人も増えているという。