ビジネス

2022.07.19

iPhoneを決済端末にする「Tap to Pay」にオランダ発のAdyenが本格対応

AdyenCEOのPieter van der Does(Photo by John Phillips/Getty Images for TechCrunch)

アムステルダムに本拠を置く決済ソフトウェアプロバイダーの「Adyen(アディエン)」は、アップルの新機能「Tap to Pay」を競合のストライプに先駆け、幅広い顧客向けに提供している。Tap to Payは、iPhoneを決済端末にして支払いを受けられる機能で、加盟店はハードウェアを新たに設置する必要がない。

アップルは、2月にiPhoneと対応アプリだけで決済が可能なTap to Payを発表した。この機能は、顧客が自分のiPhoneを、店側のiPhoneにタップするだけで支払いを完了することができるもので、アップルは、ストライプが最初に対応アプリを提供すると述べていたが、同社のアプリはまだテスト段階にあり、リリースは来年春になる予定だ。

ECプラットフォームのShopify(ストライプを採用)とSquareは、一部の加盟店限定でTap to Payを提供している。一方、Adyenは7月12日、米国のすべての同社の顧客がiPhoneで即座に、Tap to Payを利用可能になり、アパレルメーカーのVinceやG-Star、スコッチ&ソーダ、ナイキなどが対応したと発表した。Adyenのソフトウェアは、加盟店の既存ソフトウェアと統合できるように設計されており、新たにダウンロードする必要がない。

Adyenは、アフターコロナ時代における新たなショッピングパターンに勝機を見出そうとしていると、同社CFO(最高財務責任者)のIngo Uytdehaageは話した。

米国本拠のライバルのSquareが実店舗を主な対象とし、ストライプがECに特化しているのに対し、Adyenは実店舗とECの両方に対応している。Adyenは、現CEOであるPieter van der DoesとArnout Schuijiffによって2006年に設立された。2人は、2018年の同社のIPOによりビリオネアとなっていた。

ここ最近は、フィンテック企業の株価が暴落しているが、2人の資産額はVan der Doesが18億ドル、Schuijiffが24億ドルと、今でもビリオネアの地位を維持している。

Adyenは、2021年にウーバーやスポティファイ、リーバイス、イーベイなどの顧客を介して5160億ドルの決済を処理した。ストライプの処理額は6400億ドルだった。

Adyenは、ユーロネクスト・アムステルダムに上場しており、時価総額は433億6000万ドルとなっている。同社の収益は過去3年間で平均64%増加したが、他のフィンテック銘柄同様、同社の株価も暴落し、ADR(米国預託株式)は13.81ドル程度と、年初来で45%下落している。競合他社では、ペイパルの株価が年初来で62%安、ブロック(旧スクエア)が60%安となっている。

マクロ環境が厳しさを増す中、Adyenは米国事業を強化している。Uytdehaageによると、同社は2021年に売上の40%以上を欧州以外で稼ぎ、米国は2番目に大きな市場だという。同社は、ニューヨークとサンフランシスコの事業所を拡張している。テック企業の多くがリストラをする中、リンクトインのデータによると、Adyenは6月から7月にかけて34人を新規採用した。

編集=上田裕資

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