ビジネス

2022.07.19 11:30

アマゾンCEOの給与は労働者の6400倍、「衝撃の格差」が明らかに

アップルCEOのティム・クック(Photo by Jemal Countess/Getty Images for TIME)

アップルCEOのティム・クック(Photo by Jemal Countess/Getty Images for TIME)

米国最大の労働組合連合「AFL-CIO」は7月18日、2021年のS&P500企業の最高経営責任者(CEO)の役員報酬の平均が、労働者の年収の中央値の324倍に達したと発表した。企業のトップと労働者の間の賃金の格差は、近年ますます拡大を続けている。

この数値は、2020年の299倍からさらに上昇し、AFL-CIOが2018年にこの指標の追跡を開始して以来で最大となった。

2021年に最も多額の報酬を得たCEOは、エクスペディアのピーター・カーンで2億9620万ドル(約401億円)だった。2位以降は、アマゾンのアンディ・ジャシー(2億1270万ドル)、インテルのパトリック・ゲルジンガー(1億7860万ドル)、サービスナウのビル・マクダーモット(1億6580万ドル)、アップルのティム・クック(9870万ドル)の順だった。

アマゾンのジャシーの2021年の役員報酬の総額は、同社の労働者の年収の中央値の6474倍で、この比率はほかのどの企業のCEOよりも高いという。

アマゾンの広報担当者はフォーブスの取材に対し、ジャシーの役員報酬の2億1270万ドル(約370億円)は、米証券取引委員会(SEC)が企業に求める集計方法のために実態以上に膨らんで見えると述べ、報酬の大半は10年をかけて利益が確定する制限つき株式の付与によるものだと説明した。

今回のリストの上位に入った他のCEOも、長期間の制限付き株式で報酬の大部分を受け取っており、アップルのクックは昨年、8300万ドル相当の自社株を受け取っていた。

CEOの報酬はここ数十年で急騰しており、米国のシンクタンクEPIが昨年発表したデータによると、1978年から2020年までのインフレ調整後のCEOの報酬の上昇率は1300%以上で、同期間の労働者の報酬が18%増だったのに比べて、著しく高かった。この格差は、パンデミックを受けてさらに広がっており、ニューヨーク・タイムズ(NYT)が実施した調査によると、上場企業のトップ200人の報酬は2019年から2020年にかけて14.1%増となったが、同期間の労働者の賃金の伸び率は1.9%増だった。

AFL-CIOのフレッド・レドモンド書記長は記者発表で、新たな報告書のテーマを、強欲を意味する単語のグリードと、インフレをつなげた造語の「グリードフレーション」という言葉で表現し、インフレが進む中で、経営者の報酬が増加し続けていることを揶揄した。

編集=上田裕資

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