愛が終わり苦しみが始まる気配を知る方法

メンタルヘルスの研究で、愛というものが本や映画、音楽などのイメージと異なるものであると何度も証明されている


心理学者のジーチン・ワンは、このアプローチを「手段の視点」と呼んでいる。人をモノとして見る「客体化」の視点だ。手段の視点の下では、人は他者の目標達成を容易にするための機能を持つ純粋な道具へと格下げされてしまう。要するに、手段のアプローチをとると、相手が自分にとってどれだけ役に立つかだけを考えてしまうのだ。

ワンは、このアプローチが親密な関係に悪影響を及ぼす理由として、2つの点を挙げている。

1. いつまでも「役に立つ」パートナーはいない。人間の目指すものはライフステージによって大きく異なるため、必要な「道具」も変わってくる。つまり、ある期間、ある目的のためにBがAの役に立つことがあっても、そのままBがAの役に立ち続けることは困難だ。Bが常に「役に立つ」ことをAが望むなら、Aはいずれ失望を感じることになる

2. パートナーがモノ扱いされていると感じるかもしれない。手段としての視点に晒されることで、パートナーは自分に固有の価値がなく、ある目標を達成するための手助けができるということ以外には何ももたらさないというメッセージを受け取ってしまうかもしれない。パートナーからこのような冷淡で人間味のない扱いを受けるのは耐え難いことだ、とワンはいう。

もし、パートナーがあなたを功利的な観点だけで見ていると感じるのなら、それはあなたのせいではないし、あなたの自尊心に影響を与えないようにすることが重要なのだ。人は何らかの目標に突き動かされるもので、それゆえに手段的アプローチが社会的関係におけるデフォルトモードとなりがちなのだ。たとえそれが親密な関係であっても。

このような状況は自分の幸福や自己イメージに直接影響するため、パートナーや恋人、あるいは精神科医と正直に話をすることが望ましい。

良いとき悪いときも、どんなときでも一緒にいてくれるパートナーがいることは幸せなことだ。しかし、その関係が聖域ではなく牢獄になってしまわないように、常に自分自身と向き合い、正直に関係を評価する必要がある。

翻訳=酒匂寛

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