メインステージで行われた最初のセッションとなる「Web3メタバースが拓く新しい日本のデジタル経済」には、メタバースジャパンの代表理事を務めている、馬渕邦美氏(PwCコンサルティング合同会社 Partner 執行役員)と長田新子氏(一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長)に加えて、元内閣府副大臣衆議院議員の平将明氏が登壇。残念ながら平議員は新型コロナウイルス感染症の陽性診断のため、オンラインでの参加となった。
日本は何をやるにしてもすごい時間がかかる
平議員は昨年まではクールジャパンの政策を担当し、現在NFT政策検討プロジェクトチームの座長も務めており、今年の3月にNFTホワイトペーパー(案)を発表している。馬渕氏から、このホワイトペーパー発表が非常に迅速だったことについて聞かれた平議員は、「日本のさまざまなコンテンツとかサービスの価値が、グローバルな価値から見て低すぎる」と問題意識を持っていたとのこと。その上で「NFTが出てきたので、この問題を解決する1つのテクノロジーだと注目していた。そのときに当時のデジタル庁平井大臣から担当を任され、プロジェクトチームが起ち上がった」と話した。
メタバースジャパン代表理事/PwCコンサルティング合同会社 Partner 執行役員 馬渕邦美氏
平議員は、このプロジェクトチーム立ち上げ時、Web3関連の人たちと、コロナ禍のためFacebookのメッセンジャーに集まってもらい議論を進めていたが、「ブロックチェーンあり、仮想通貨あり、そしてNFTがあり。そこからメタバースが出てきて可能性が語られて、生態系として完成しつつある、急成長しているというのを実感した。これは急いでやらないと」と危機感を持ったという。
さらに平議員は「日本というのは、何をやるにしてもすごい時間がかかる国。早くキャッチアップするためにWeb3を網羅的に捉えて、今年の3月にNFTホワイトペーパーを発表した」と説明。さらに「岸田総理が進める『新しい資本主義』の成長戦略にも資するし、分配政策にも資する新しいトークンエコミーができる」ということで、6月には政府の骨太方針やデジタル庁の重点計画にも入り、自民党の党略にも含まれ、「Web3が国家戦略になった」と話している。
最も可能性があるのはDAO
長田氏からは、グローバルとのスピード感について「アメリカなどのグローバルはどんどん進んでいき、日本からも人材が流出していくのでは」という問題を指摘。
これについて平議員は「イギリスやアメリカ、シンガポール、イスラエルなどは判例法なので、新しい技術とか新しいサービスがあったらどんどん始めてしまう。その上で何かトラブルが起きたら判例を積み重ねて、それが新たにルールになっていく。一方、日本やドイツは大陸法でルールがカチッとしていて、そのルールを変えないとグレーゾーンの解消できない。なので2〜3年の遅れがどうしても起きてしまう」と海外とのスピード感が生まれてしまう理由について説明する。