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2022.07.18 18:00

インフル+コロナの同時感染、「人類への脅威」にはならず? 米研究

Getty Images

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インフルエンザと新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に同時に感染した場合、SARS-CoV-2の増殖が抑制される可能性があるとの研究結果が発表された。専門家らがこれら2種類のウイルスが同時に流行することへの警戒感を強めるなか、いくらかの心強さを与えてくれる結果といえるかもしれない。

ウイルス学のジャーナル「ジャーナル・オブ・ヴァイロロジー」に掲載された査読済み論文によると、動物(ハムスター)を使用した実験で、A型インフルエンザウイルス(IAV)は新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の複製を阻害するとの結果が得られたという。

IAVは4種類ある季節性インフルエンザウイルスの一つで、過去にパンデミックを引き起こしたことが分かっている唯一のインフルエンザウイルス。論文を発表したニューヨーク大学グロスマン医学部のベンジャミン・テノーバー教授(微生物学)らによると、ハムスターの肺でのSARS-CoV-2の複製は、インフルエンザウイルスが排除されてから1週間以上、抑制されていた。

同時に感染することで、SARS-CoV-2がIAVの感染後の経過や症状に影響を与えることはなかったとみられている。だが、IAVは(特に先に感染していた場合)、SARS-CoV-2の複製を大幅に阻害していたという。

こうした結果が示唆するのは、IAVが持つ、またはIAVによって引き起こされる何らかの要因が、SARS-CoV-2の増殖を抑制することだ。だが、それがCovid-19の症状の程度に影響を及ぼすものかどうかは不明だ。

研究チームは、今回の研究で得られた結果がヒトやウイルスのその他の株にも当てはまるのかどうかを明らかにするためには、さらなる研究が必要だとしている。

同時感染が重症化を招く可能性は低い?


SARS-CoV-2のパンデミックの発生に伴い、感染拡大を抑えるために各地で実施されていた規制は現在、大半が緩和・撤廃されている。こうしたなかで専門家らは、これら2つのウイルスに同時に感染する人が増加する可能性があると警戒を強めている。

テノーバー教授は、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保などが求められていなかったパンデミックの初期には、インフルエンザとSARS-CoV-2の同時感染のケースも多かったと指摘。これらの同時流行がパンデミックの状況をさらに悪化させるのではとの懸念が強まるのは、そのためだと述べている。

だが、インフルエンザの「フル」とコロナウイルスの「ロナ」を合わせて「フルロナ」とも呼ばれる(もちろん、正式名称ではない)SARS-CoV-2とIAVへの同時感染について、テノーバー教授らの研究の結果が示唆するのは、それが「人類に迫り来る脅威ではないということだ」という。

ただ、今年3月には、その主張を裏付ける証拠は十分ではないとされているものの、インフルエンザとSARS-CoV-2に同時に感染した人は(どちらのワクチンも接種していなかった場合)、SARS-CoV-2のみに感染した人と比べ、死亡リスクが2倍、人工呼吸器を必要とする可能性が4倍に高まるとの研究結果も発表されている。

編集=木内涼子

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