ただし、このテクノロジーの魅力は、世代にマッチしている点だけではない。ウッドによると、テキサスA&M大学との提携は、特に人件費の課題と、食品コストの上昇に対処する目的から生まれたという。例えば、ピクニック・ピザ・ステーションでは、1人のオペレーターがいれば、1時間に最大100枚のピザを作ることができる。通常、それだけの量を作るには、少なくとも3人の人手が必要だ。この差は、年間約3万5000ドルの人件費となる。
「また、ピクニック・ピザ・ステーションでは、ピザにトッピングを乗せすぎたり、こぼしたりすることなく、常に一定の量を乗せることで、食品廃棄を約80%削減することができる。チーズと肉は、ピザの中で最も高価な食材であるため、正確な配置と一貫した計量により、レストランは食材費をより厳密に管理でき、キッチン1カ所につき年間数千ドルを節約できる」とウッドは述べている。
しかも、品質を犠牲にすることなく、それが実現できる、とウッドは言う。テキサスA&M大学での試験プログラムにおいて、ピクニックのピザは、ブラインドテストで全体の83%の支持を獲得し、人間が作ったピザより10ポイントほど高く評価された。
これらの強みが、今回の導入拡大を後押しした。今秋からは、試験プログラムが行われたテキサスA&M大学とシカゴ大学で正式稼働が始まるだけでなく、ミズーリ州立大学やキャロル大学、インディアナ大学、パデュー大学インディアナポリス校でも、ピクニック・ピザ・ステーションが稼働する予定だ。
こうした拡大の先にある可能性は大きい。提携先のチャートウェルズは、米国の300を超える大学でフードサービス業務を管理している。そして言うまでもなく、ピザは米国の大学生たちに圧倒的に人気のある食べ物だ。
ただしウッドは、オートメーション化が「現実的な人手の問題を解決する」という点から、キャンパス外への導入も近いと考えている。
「我々は、未来の食品生産ラインを開発している。その可能性はほとんど無限大だと思う」とウッドは述べる。「食品システムのオートメーション化は、大学の収支を向上させるだけではない。より大きな消費者市場への波及効果が期待できる、新たな食品コンセプトを着想・探求する場を提供することができる」