今回は、国内外に680店以上を展開するメガネブランド「JINS」創業者・田中仁と、スパークリング日本酒で海外市場に挑む老舗蔵元「永井酒造」の6代目である永井則吉が登場。
共に群馬に生まれ育ち、群馬から世界を目指すブランドを率いるふたりが、利根川のほとりでふるさとへの思いを語る。
さびれた故郷の姿に起業家魂が燃えた! まちづくりでも結果を出します。
たなか・ひとし◎1963年、群馬県前橋市生まれ。高校卒業後、信金勤務を経て88年にジェイアイエヌ(現ジンズホールディングス)設立。2001年アイウェア事業「JINS」開始。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。前橋工科大学客員教授。
田中 仁:生まれ故郷の前橋の再生を掲げ、2014年に田中仁財団を立ち上げました。群馬イノベーションアワードや群馬イノベーションスクールを開催し、起業家支援や地域活性化を推進してきました。
郷土愛というより、「結果を出したい」という起業家魂に火がついたから。政治的な課題も乗り越え、いまでは官民一体で新たなまちづくりに取り組んでいます。
2020年に開業した白井屋ホテルもそのひとつ。廃虚化した老舗ホテルが売却に出ていると相談を受け、アートと地元コミュニティのハブとして再生したところ、視察の要望が殺到しました。経営者だけでも200人以上アテンドしました。
地産地消を進める白井屋ホテル。レストランでは、料理とのペアリングで、地元・永井酒造の銘酒を提供
当初は「田中は商売に成功して、前橋でも儲ける気か」と陰口をたたかれました。でも完成した白井屋を見て、これは金儲けではないとわかったのか、いまでは何も言われなくなりました。
僕の東京の家は賃貸で、前橋ではホテルに宿泊。都内に豪邸を建てるより、前橋の街や人に投資したほうが面白いし、喜んでくれる人がいる。東京と前橋を往復するためのお気に入りの車があればそれで十分です。
初代前橋市長の下村善太郎は、生糸で成した財を投じて市の近代化に寄与した。地元に尽くすのはそのDNAを受け継いでいるからでしょうか。
今年10回目を迎える群馬イノベーションアワード。いまや群馬は「起業家の聖地」との呼び声も