ビジネス

2022.07.16

G-Summit Japan2022開催 今、問われる「エンパシー(共感性)」とは?

Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香(左)とジェネシスクラウドサービス日本法人/代表取締役社長のポール・伊藤・リッチー(右)


指揮者の役割を担う「オーケストレーション」


谷本:「オーケストレーション」という言葉が沢山出たのがとても印象的だったのですが、この言葉は、どのように理解すればよろしいでしょうか?

ポール:「オーケストレーション」は、「オーケストラ」からきている言葉です。多くの楽器が指揮者の下に音楽を作っていくわけですが、ジェネシスは、リアルタイムで顧客体験を再現する。つまり、指揮者になっていく役割を担うのです。

企業は様々な顧客データを独自で持っていますが、弊社は、この宝の山の意図を「分析」して、最適なリソースにマッチングさせていく。この一連の流れが「オーケストレーション」なのです。

谷本:理解しました。では、「オーケストレーション」する事で、どんな事が実現出来るのかをピーターさんに伺ってみましょう。



「オーケストレーション」で実現する事


ピーター:最初のステップは、「提供する全てのチャネルを聞く事」です。話す内容や会話のテーマから、全てのデータをAIデータモデルに取り込みます。そして予測を行います。

例えば、この顧客がWEB上でクリックするシステムを挿入するのに最もよさそうなタイミングを予測するのです。ビジネスを最大に成功に導く為に、介入して体験を作るべきか?あるいはAIを使用すべきなのか?この顧客にとっての最高のエージェントは誰なのか?を考えます。

これらは、全て新しいAIの活用法であり、これこそが「オーケストレーション」なのです。次のステップは「行動」です。エージェントに問い合わせたり、チャットしたり、アウトバンドメッセージを送信したりします。そして、最後のステップは「確認」です。



どれくらいの収益を生む出す事が出来たか?あるいは、顧客を維持する事が出来たか?これらの情報を駆使して、顧客対応を改善するようにAIを訓練します。弊社は、広範なトレーニングのデータベースを持っており、体験を最適化する事が可能なのです。

つまり、データが全ての役割を担い、そのデータを有意義に活用出来るのです。これは、ジェネシス1社だけでなく、ジェネシスのエコシステム全体の取り組みとして実践しています。

谷本:データといえば、CXの時代、データ活用は不可欠なのですが、ほとんどの日本人は、データの取得方法も使用方法も、組織全体での活用方法も理解していないかと思います。そういったデータの活用法について、どのようにお考えでしょうか。

ピーター:多くのデータは、ジェネシスのシステムで自動的に収集しています。誰が連絡を取ったのか?会話はどのくらいの長さなのか?ユーザー企業は、たいてい弊社のシステムとCRMシステムを接続しています。電話が鳴れば、自動的に顧客データが抽出されて、画面に表示されます。

このような顧客データには、名前・住所・年齢・性別等、多くのパラメータが含まれています。それらをAIアルゴリズムに供給し、体験を最適化するのです。今後は、顧客が、AIに特定のモデルや独自のモデルを追加出来る、より高度なデータモデルが登場するでしょう。最も重要な事は、企業は沢山の顧客データを保有しており、弊社は顧客データ活用を支援出来る、という事実です。

では、何故AIはクラウドでなくては、いけないのか?それは、同じデータに多数のアプリケーションが含まれるからです。予測的ルーティング、予測的エンゲージメント、エージェント支援、これら全てが同じデータ上にあるからなのです。そして、これらのメリットとしては、体験の一部で学習した事を、体験の他の部分に適用出来る事にあります。全て同期していなくてはいけません。だからクラウドが必要なのです。
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文=中村麻美

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