ビジネス

2022.07.16 08:00

部下に子供を産ませたイーロン・マスクは「倫理違反」の可能性


社内恋愛で解雇されたCEOたち


例えば、マクドナルドの前CEOであるスティーブ・イースターブルック(Steve Easterbrook)は、少なくとも3名の部下と性的関係を持ち、2019年11月に解雇された。2018年には、インテルの前CEO、ブライアン・クルザニッチ(Brian Krzanich)が、部下と合意の上で関係を持ったことが社内調査で判明し、辞任に追い込まれた。今年初めには、CNNの元CEOのジェフリー・ザッカー(Jeffrey Zucker )が、部下との関係を公表しなかったことを理由に辞任した。

テスラの社内規定は、利益相反に焦点を当てているものの、合意の上での交際を明確に禁止していないため、同社取締役会がどのような対応を取るのか予測するのは難しい。「取締役会は、社内外の弁護士や広報担当者と協議中で、急いで結論を出したくないと考えているだろう」とMooreは話す。

しかし、ニューラリンクやテスラの取締役会が対応を怠れば、このような関係に対する説明責任が薄れてきているというメッセージを他のCEOに送ることになるとMooreは指摘する。「裁判資料によると、マスクは双子の父親であることを認めており、母親は彼の会社の重役だった。マスクが富や権力、地位、知名度を理由に責任を問われないのであれば問題だ」とMooreは言う。

一方、コーポレートガバナンスの専門家でデラウェア大学教授のCharles Elsonは、マスクとSEC(米国証券取引委員会)との確執への対応を考えると、取締役会がアクションを取ることは考えにくいと指摘する。

「マスクが裁判所命令を受けるほどのSEC違反を犯した際も、取締役会は何もしなかった。今回の件で彼らが動く方が驚きだ。マスクは王であり、“王は悪を成し得ず”と昔から言う通り、王を罪に問うことはできないのだ」とElsonは述べた。

編集=上田裕資

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