元ファーストクラスCAが「旅育」実践。乗務で鍛えたあの力は活きたか?

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清水裕美子氏。人気記事:元ファーストクラスCAに聞く「機内で噂される一流の乗客」の共通点、人気連載:元ファーストクラスCAに聞く一流の共通点の著者であり、『ファーストクラスCAの心をつかんだ マナーを超えた「気くばり」』(青春出版社)の自著ももつ、「シーエーメディアエージェンシー」代表取締役である。日本航空(JAL)の客室乗務員として国際線ビジネスクラス、ファーストクラスなどを含めて約5年乗務した経験を持つ。

「CA時代に身につけ、その後の人生で役立っているスキルの多くは、旅を通して鍛えられた」と考える氏がこの6月、愛児とともに旅に出た。

ハプニングがつきものなのが、旅行。突発的な状況に強い元CAの母が自ら「旅育」の成功法を探ったら、何が見つかったか?


近年よく耳にするようになった「旅育」という言葉。東洋大学国際観光学部の森下晶美教授は、「旅育とは、旅は人間性の成長を促すとする考え方で、旅によって得られる知識や興味・価値観の広がり、共感力を人の成長に役立てようとするもの」と定義されています。

乗務、そしてステイ先で鍛えられた3つの「CA力」


私自身、2児の母となり、「旅育」を積極的に取り入れているのですが、そのきっかけはCA時代に身につけ、その後の人生で役立っているスキルの多くは「旅」を通して鍛えることができると考えたからです。

CAの仕事を通して鍛えられたスキルはたくさんありますが、なかでも私が最も感謝しているのが、1. 臨機応変な対応力、2. コミュニケーション力、3. プラニング力の3つです。

これらは、CAの業務そのものでもちろんですが、ステイ先で初めての土地に出かけたり、そこで現地の方々と交流を持つなかで鍛えられた面が多いと思っています。

具体的に、旅のなかでどのようにこれらのスキルを磨くことができるのか。先日三世代旅行で北海道を訪れたので、その時の事例をもとにご紹介していきます。

1. 臨機応変な対応力とそれに対するポジティブな解釈

旅にトラブルや想定外のハプニングはつきもの。全てプラン通りいくことの方が珍しいのではないでしょうか。

そのような環境は、予想外のことが起こった時でも動じることなく、冷静に他のアイデアを考えるというスキルを鍛えるのに最適です。また、トラブルが起こってもうまく対処できた経験は、自信に繋がっていくと思います。

私自身、このスキルを意識しだしてから、トラブルやハプニングが起こりそれに対処するごとに、自分が成長していくような達成感を感じています。

■今回の「旅育」では

今回の北海道旅行では、4日間の日程のうち、最初の2日間は大雨でした。雲海を見るのを楽しみにしていたほか、気球やファームピクニック、お花畑観賞、川下りなど、天候に左右されるアウトドアのアクティビティをメインで入れていたため、急遽プランを組み直すことになりました。

幸い3日目は晴れるようだったので、2日目に予定していたファームでのピクニックと、3日目に予定していたチーズ作り体験とピザ工房でのランチ(雨の日でも影響のないアクティビティ)をチェンジ。


富良野チーズ工房でのチーズ作り体験

予定がずれ込んだことで3日目に予定していた2カ所のお花畑のうち1カ所に行けなくなってしまったので、それを4日目に組み込むなど、パズルのようにプラン変更しました。

5歳の長男は「雨だったらどうなるの?」と最初は心配していたのですが、「作戦変更しよう!」と告げ、大人たちで地図を広げながら「この予定はこの日に移動したら?」と作戦会議を開始。長男も「それならこうしたらいいんじゃない?」と、子供なりに提案をしてくれる場面もありました。

また、ハプニングへの対処はどれが正解、不正解というものはないと思うのですが、「結果的にこれでよかったね」と自分たちの選択を肯定することも大事だと思っています。

今回は雲海と気球は天候不良で諦めることになったのですが、それ以外のプランは作戦通り楽しむことができたので、「うまくプラン変更できたよね」「この方が逆によかったかもね!」と自画自賛。

このポジティブな解釈は長男にも移っているようで、私が雲海を見ることができなかったことを残念がっていたら、「でもそのおかげで朝ゆっくり寝れてよかったよね!」「飛行機の上から雲がたくさん見れたからいいんじゃない?」と励ましてくれました。

臨機応変な対応と、それに対するポジティブな解釈というのは、トラブルに負けない強さに繋がると考えています。
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文=清水由美子 編集=石井節子

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