──後輩起業家からは、どのような相談を受けることが多いですか。
既得権益があったり、法令にかかわる事業モデルだったりと、Luupと同じようなところで躓いている起業家の方からの相談が多いですね。例えば医療系。新薬や新しい医療方法は、制約が多くて技術を持っているだけでは前に進めないので、「Luupの場合はどうしましたか」などと聞かれます。
正直私も道半ばで、他人にアドバイスをしている余裕があるわけではないですが、これまで蓄積してきた知見は共有しなければもったいないという思いもあります。やはり、同じ時代を生きている人間として、誰もが最善の道を歩んで欲しいので。
特に、人類の前進に貢献したいという思いから事業に取り組んでいる人たちは応援したいです。いつか自分も彼らに助けてもらうことにもなるかもしれませんから。
「人間が想像できるものは、人間は必ず実現できる」
──ご自身が、これまでの人生で影響を受けた言葉はありますか。
フランスの小説家、ジュール・ヴェルヌの名言「人間が想像できるものは、人間は必ず実現できる」ですね。主語が「人間」という点も好きなポイントです。
この言葉には、「必ず実現できるのであれば頑張るべきだ」という意味に加え、日々の想像(イメージトレーニング)が大事であるという意味も込められていると個人的には考えています。
人間は一度“想像”すると、その後の細かな“想像”を怠りがちです。たとえば、プロ野球選手になりたいと思ったときに、大半の人は「練習する」といったすぐにできることを考えますが、その先にある「どういうプロ野球選手になりたいか」という点までは想像が至らない。
日本のプロ野球なのか、メジャーリーグなのか。あるいはどのポジションをやりたいのか。自分の目標の解像度を上げるために、“さらに想像する努力”を怠るべきではないと感じています。
そのため、本来の意味とは異なるかもしれませんが、私は「ありえないと思うほど想像するべきだ」と自分に言い聞かせてきました。