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2022.07.18

ヴィクトリアズ・シークレット、黒人所有企業からの調達拡大へ

Getty Images

ランジェリーブランドの「ヴィクトリアズ・シークレット」は、調達先に黒人の経営する企業が少ないという現状を改める必要性をようやく認めたようだ。現在、同ブランドのサプライヤーのうち、黒人が所有する企業の比率はわずか1〜2%にとどまっている。

カルチャーバンクス(編集注、筆者の経営するメディア会社)の報道によると、デザイナーのオーロラ・ジェームズは主要小売各社に対して、商品棚のスペースの15%を黒人が所有する企業の商品向けにするよう呼びかけている。ヴィクトリアズ・シークレットはそれに応え、黒人が所有する企業との取引を増やすほか、黒人の従業員の昇進も増やす方針だ。

同社での昇進で黒人が占める割合は現在は10.8%にとどまるが、2027年までに15%に引き上げることをめざす。

マッキンゼー・アンド・カンパニーのリポートによると、マイノリティーが所有する企業を調達先に組み入れる「サプライヤー・ダイバーシティー」を進めれば、米経済にとって2800億ドル(約38兆円)の押し上げ効果が見込まれる。ヴィクトリアズ・シークレットのように黒人系サプライヤーとの関係拡大を図る企業も、こうした取り組みによって大きな恩恵を受けることになりそうだ。

米小売業界では昨年、コスメチェーンのアルタ・ビューティーも、ダイバーシティー推進に2500万ドル(約34億円)を投じると発表。黒人所有ブランドの取扱数を倍増させることや、広告でも黒人女性の起用を増やすことを約束した。

LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン傘下の同業セフォラも、昨年初めに同様の取り組みを打ち出している。同社が扱っている300近くのブランドのうち、黒人が所有するものはわずか8ブランド(2.6%)にとどまっていたという。

ブルームバーグによると、アルタとセフォラもこれまでにジェームズの「15%の誓約」に署名している。

たしかに実店舗での販売は年々魅力が薄れてきていることから、ヴィクトリアズ・シークレットの今回の取り組みはただのパフォーマンスに映るかもしれない。けれど長い目で見れば、エコシステム内での黒人ベンダーの重要性が高まっていくにつれて、サプライヤーの多様性は同社や米経済の成功に寄与するものになるだろう。

編集=江戸伸禎

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