なぜ米国人はTikTokが危険だとわかっていても使い続けるのか

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また、FCC(連邦通信委員会)のブレンダン・カー委員は、アップルとグーグルにTikTokをアプリストアから削除するよう要請しています。TikTokは、本来いた人気のある場所に戻ってきましたが、もっとやらなければならないことがあります。

――中国のサービスやアプリについて知っておくべきことは何でしょう?

中国は2017年に国家安全保障法を成立させ、中国の企業や個人に北京の命令があれば情報収集することを義務づけました。中国政府は、TikTokの親会社であるByteDanceの出資者でもあります。その結果、中国政府は、米国人のユーザーデータがどこに保存されているかにかかわらず、中国にいるTikTokの従業員にアクセスを要求することができるのです。TikTokは、閲覧履歴、地理データ、ファイナンシャルデータ、電話番号、連絡先、クリップボードデータ、生体データ、ドラフトのビデオなどをことごとく飲み込んでいます。

私は、米国上院のシニアスタッフとして、北京のテクノロジー企業のデータプライバシー慣行と、中国がもたらす国家安全保障上のリスクについて研究しました。中国の技術には、データへの不正アクセスを可能にするバックドアが仕込まれているという指摘は、TikTokが雇った外部監査人からもなされています。このデータは人工知能(AI)技術を用いて集約され、米国民を情報操作や脅迫にさらせる高度なプロフィールが作成できるのです。自分の代わりに不正な税の申告が行われることを想像してみてください。中国共産党は、いざとなったら躊躇しません。

――中国は米国のアプリを全面的にブロックしているのに、私たちにオンラインサービスを提供することができるのですか? その仕組みはどのようなものなのでしょう?

北京の情報省は、中国国内で米国のソーシャルメディアアプリをブロックしています。なぜ私たちもそのようにしないのでしょう? 私たちが、中国から米国市民へのオンラインサービスを認めているのは、呆れるばかりです。しかし、その理由はひとことで説明できます。お金です。

たとえば、TikTokはニューヨーク・ヤンキースに1000万ドル(約13億7000万円)を支払い、ヤンキー・スタジアムの看板を含む3年間の広告契約を結んでいます。中国政府の資金は米国企業を侵す妙薬となっています、それが変わるまで中国は米国から搾取し続けるでしょう。

翻訳=酒匂寛

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