英当局、サル痘ウイルスの分類を変更 警戒度を一部引き下げ

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世界各地で感染拡大が報告されているサル痘ウイルスについて、英保健安全保障庁(UKHSA)が国内での分類を「重大な影響をもたらす感染症(High consequence infectious disease:HCID)」から、「各地で感染が広がっているまれなウイルス」に引き下げたことが明らかになった。

分類の「HCID」が意味するのは、感染した場合の死亡率が高く、医学的介入の方法が乏しいことだ。だが、英国内で確認されているサル痘の感染者は、ほとんどが比較的軽症で、死者は報告されていない。また、ワクチンによって重症化を防ぐことも可能となっている。

分類が変更されても、サル痘ウイルスの流行に対する実質的な対応が大きく変わるわけではない。ただ、当局が濃厚接触者の大半に毎日連絡を取り、症状などについて確認することはなくなるという(感染者の濃厚接触者には、症状が出た場合の連絡先が伝えられる)。UKHSAは6月中旬から、分類の変更について検討していた。

一方、UKHSによると、西アフリカから新たに入国した人にサル痘ウイルスへの感染が確認された場合には、引き続きHCIDに分類するという。重症化の可能性もあると考えられることが、その理由だ。

感染者は増加傾向


英国内でのサル痘感染は、拡大が続いている。7月11日までに確認された感染者は、1735人。7日時点では1552人となっており、6月26日までの1076人から約50%増加していた。感染者の大半は、ロンドンで確認されている。

UKHSAの臨床・新興感染症担当ディレクター、ミーラ・チャンド医師は、国内で確認されている感染者は大半がゲイ、バイセクシャル、その他の男性とセックスする男性(MSM)だが、「感染の可能性は誰にでもある」として、引き続き症状に注意を払うよう呼び掛けている。

イベントなどに参加する場合には、事前に発疹や水泡ができていないか確認すること、何らかの症状がある場合には、性行為を控えることなどが必要だという。

チャンド医師は、「サル痘の感染者と接触した後、(感染しても)症状が出るまで、長ければ3週間かかることもある。肌が触れ合うような、または性的な接触を初めてした人がいた場合、その後は症状に注意してほしい」と述べている。

編集=木内涼子

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