西:他社さんが手を出せないシチュエーションで投資することが大事だと考えているんです。今回は既存株の買取、新規の成長資金、M&A資金という3つの要素を一気に、短い期間に決め切るという特殊な案件。それを要求するだけの器をもった起業家も、対応できる投資家もそういませんから。
佐藤:西さんはすごく熱量が高くて、「やるべきだ」と言い切ってくれて頼もしかった。投資後も、M&Aのアドバイスはもちろん、僕らの事業戦略が外部のステークホルダーの皆さんの目にどう映るのかという視点でいつもフィードバックをしてくれてすごく助かっています。
西:通常のマジョリティ投資では、内容も頻度も非常に細かいレベルまで口出しさせていただくのですが、今回はマイノリティ投資ですし、成長している会社なので大したことはしていません。私にできるのは、資本政策にかかわることと、大きなコーポレートアクションを起こすときのお手伝いくらいです。
佐藤:社外取締役として西さんが取締役会に参加しているという事実自体が、内部の経営陣からすると襟を正すことにつながっていると思います。会社がティーンから大人になっていくうえで足りないところのサポートを今後もお願いしたいです。
西:佐藤さんには、中小企業のデジタル化のような大きなテーマを追いかけ続けて、実現してほしいですね。結果として、会社がユニコーンを超えてデカコーンになる可能性も十分にあると期待しています。
にし・なおふみ◎ベインキャピタル マネージングディレクター。東京大学教養学部学士、修士(国際関係論専攻)。スタンフォード大学経営学修士。マッキンゼー・アンド・カンパニーでのコンサルティング経験を経て07年より現職。(写真左)
さとう・ゆうすけ◎ヘイ代表取締役社長。2008年、グーグル日本法人に入社し、広告製品を担当。11年、フリークアウト(現フリークアウト・ホールディングス)に創業メンバーとして参画。同社代表取締役社長を経て18年2月より現職。(同右)