ロシアは2019年、ウクライナ東部ドネツク州とルハンシク州の住民を対象にロシア国籍の取得手続きを簡素化。今年2月下旬にウクライナに侵攻したあと、適用対象を南部のヘルソン州とザポリージャ州の住民にも広げていた。両州は現在、ロシアが大半の地域を支配下に置いている。
ロシアは6月、ヘルソン州ヘルソンとザポリージャ州メリトポリの住民にパスポート(旅券)も発行している。
AP通信によると、ドネツク州とルハンシク州では2019〜22年に住民約72万人がロシアのパスポートを受け取ったという。
ロシアは1990年代以来、外国に支配権を及ぼす狙いから、周辺国などのロシア系住民や少数派にロシアのパスポートをばらまく「パスポータイゼーション」と呼ばれる政策を進めてきた。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は昨年、ドネツク州とルハンシク州でのロシア国籍取得簡素化について、ロシアによるこの地域の併合というより大きな策動を示す動きだと警戒感をあらわにしていた。
ロシアは先週、ルハンシク州でウクライナ側の最後の拠点とされるリシチャンシクを制圧したとし、同州全域を掌握したと主張した。ドネツク州では9日、5階建ての集合住宅がロシアのミサイル攻撃を受け、ウクライナ当局によると24人が死亡した。