「フリマアプリをつくった時は、1〜2年目から利益が出る状態でしたが、最終的に後発のメルカリにトップの座を奪われました。ではあちらのほうが使い勝手が良かったのかというと、そうではない。勝敗を分けたのは、売り手と買い手が多く存在するという規模の大きさだったのです。
いちばん最初に画期的な発明をしても、いずれそのプロダクトはコピーされて、代替可能なサービスとなってしまいます。
B/43ペアカードのようなサービスを2つ以上使う人はほとんどいない。だからこそ、なおさら勝負はプロダクトをいかに早く、大きなものにできるかです」
フリマアプリ時代の堀井は、顧客が増えた後も自分自身でユーザーの意見を聞き、仕様の改善を考え、次の事業展開を構想していた。しかし、その姿勢に問題があったと振り返る。
「プロダクトオーナーとしてではなく、もっとマネジメントする人間として組織を見る必要があったのです。現場でめちゃくちゃ手を動かしていましたが、PMFしたプロダクトをつくった時点で権限移譲をするべきでした」
その苦い経験を活かし、どこよりも早くユーザーを取り切るために、現在堀井は採用や評価制度など、メンバーが仕事のしやすい環境やカルチャーづくりに比重を置いている。
B/43ペアカードの利用者増加を目指し、今回調達した資金はマーケティングを中心に投入していくという。
「認知を広げるため、YoutubeやTikTok等のソーシャルメディアでのプロモーションを検討していて、そこにお金を使っていきます。また人材確保も重要なので、採用や組織体制強化にも充てていく予定です」
これまでは磁気カードのみだったが、7月からはICカードの発行を開始し、デザインも一新した。今回調達した資金を元手に、どこまで「B/43ペアカード」の認知を広げ、新たなユーザーを獲得できるか。堀井は、二度目の起業の正念場を迎えようとしている。