「レッドフラッグ」を見極める
ジョンソンの辞任から学ぶべきことは2つある、と話すのはコンサル会社APCOワールドワイドの欧州危機コミュニケーション責任者トリスタン・ルモニエだ。
「まず、ジョンソンと彼のチームはここ数週間から数カ月間、常に危機と論争の渦中にあったため、こうした種の連鎖を引き起こすレッドフラッグを特定する能力を失ってしまったようだ。これにより、ジョンソンの党首辞任に至る数時間の間に、是正措置を迅速に講じることができなかった」
自業自得の危機
「第2に、(ジョンソンの辞任は)1つの出来事によって引き起こされたのではなく、支持の喪失を進行させ、長期的に持続不可能な絶え間ない防衛モードにつながった、不祥事の蓄積によって引き起こされた。それがここ数日で転機を迎えたが、危機コミュニケーションの観点からすればこれは自ら招いた死だ」とルモニエは指摘した。
コミュニケーション不足
「ジョンソン首相は、辞任に至った事態の処理がひどかったことは間違いない。彼は差し迫る危険を無視し、危機管理アドバイザーがやってはいけないということをすべてやった」と、米デジタルマーケティング会社10 Yetisの共同創業者で最高経営責任者のアンディ・バーは声明で述べている。
ジョンソン首相は「世論にも国会議員からのコメントにも触れず、誤った非難に反論もせず、その結果、自分に対する陰謀の深刻さにまったく気づかなかったのだろう」とバーは推測する。
危機管理における2つの黄金律
「ジョンソン首相が長年にわたって危機管理に失敗してきたことは、辞任が常に『もし』ではなく『いつ』になるか、であることを物語っていた」と、危機管理の専門家でAshley Riley Communicationsのマネージングディレクター、そして元国会議員顧問のアシュレイ・ライリーはいう。
「危機管理における2つの黄金律は、物語を目的に戻すために最も懸命に働くことと、アプローチの中心に常に完全な情報開示を持つことだ」とライリーはいう。
「ジョンソン政権には目標がなかった。『ブレグジットをやり遂げる』や『仕事に取りかかる』は単なる戦術であり、コミュニケーションの安定をもたらすことはなかった」と指摘した。