芸術性を追及する一方で、転写法による絵付けやエンジンターン(電動ろくろ)などの最新技術を取り入れて陶器の量産を可能にし、特権階級以外にも良質な陶器を普及させました。
とはいえ、大量生産品を安く売るというスタイルではなく、王侯貴族に愛用されているというブランドイメージを活かして同業他社より高い価格帯で販売をしています。
ジョサイアは、ショールーム開設やカタログ作成といった広報戦略に気を配ったり、運河の建設に尽力して大量輸送態勢を整えたりと、ビジネスにおいても優れた才を発揮。また、窯内の温度を測る高温計の発明もしています。
こうした多彩な才能は子や孫にも受け継がれました。ジョサイアは進化論で知られているチャールズ・ダーウィンの祖父でもあるのです。
ダーウィンは著書「種の起源」の着想の元になったといわれているビーグル号での航海に参加する際に、実の父親の大反対を受けています。彼の父を説得してダーウィンが航海に参加できるよう取り計らったのは、ジョサイアの息子でありダーウィンの叔父であるジョサイア・ウェッジウッド2世でした。
ダーウィンが生活に困窮することなく研究に集中することができた一因は、ジョサイアが築いた資産にもあります。ウェッジウッドの成功が現代生物学の基礎を築くことにひと役かっているとは、面白い巡り合わせですよね。
連載:今日は何の日?