ビジネス

2022.08.07 08:00

世界に例を見ない日本のデジタル通貨は浸透するか? DXと「お金の未来」


武藤:大手企業の多くはERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)をはじめとする各種ITシステムの連携により業務を効率化しています。しかし、企業間の取引となると突然、旧来からのアナログの処理が発生してしまうと、私もかねてから実感していました。DCJPYによって、いよいよこの領域のDXが達成する、と考えてよいのでしょうか。

時田:おっしゃる通りです。現在の局所的なデジタル化は企業間の相互運用性を損なっています。DCJPYは単なる決済手段ではなく、「日本の産業構造全体のDXを実現するDX基盤」です。

オールジャパン体制での挑戦


武藤:DCJPYプロジェクトの推進体制はどのような構成になっているのでしょう。

時田:各業界を代表する企業が参加しているほか、会津若松市などの自治体や、法律事務所やキャッシュレス推進協議会などの団体も参加しています。また、オブザーバーとして、金融庁、日本銀行、財務省、経済産業省、総務省が参加しています。もちろん各分野の専門家の方々もアドバイザーとしてお迎えしています。いわば、世界最新のモデルを日本発で生み出すべく、「オールジャパン体制」となっているのがこのフォーラムの特徴です。

このような大規模な取り組みを進める上では、フォーラムに参加いただいている企業だけでなく、より幅広い企業から知見やケイパビリティをお借りしなければなりません。コンサルティング会社が持つ知見は、今後のDCJPYの普及において大きな力になると考え、アクセンチュアにパートナーをお願いしています。単に助言をいただいているだけでなく、世界初のプロジェクトを共に進めるメンバーという位置付けです。

武藤:このような取り組みをご一緒できることを嬉しく思います。

時田:こちらこそ、よろしくお願いします。

デジタル通貨は日本に浸透するか? DXと「お金の未来」(前・後編)

前編:周回遅れの日本のデジタル通貨 一気に世界トップにする良策とは
後編:本記事


時田 一広◎ディーカレットDCP 専務執行役員 兼 CPO プロダクト開発部門ヘッド/1995年にIIJ入社。法人向けシステム構築、ITアウトソーシングサービスの立ち上げを経て、クラウド事業責任者を務める。1999年の株式手数料自由化に伴いインターネット・トレードシステムを開発。さらに外国為替証拠金取引システムなどの金融システム事業を拡大。2005年にIIJ取締役に。2018年、暗号資産やブロックチェーンによるイノベーションを起こすべくディーカレットを設立、2022年より現職。

武藤 惣一郎◎アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 キャピタルマーケット プラクティス アジア太平洋・アフリカ・ラテンアメリカ・中東地区統括 兼 日本統括 マネジング・ディレクター/2005年にアクセンチュア入社後、金融業界にて事業戦略立案、営業改革、システム構想立案等の多数のプロジェクトを主導。近年は証券会社を中心にDX戦略策定およびそれを支える経営変革を推進。アクセンチュアのキャピタルマーケットプラクティスにおけるグローバルリーダーシップの一人。

文=アクセンチュア

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