昆虫サイズの小型機も 急速に普及するドローンの今

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2. 農作物調査用ドローン


農業従事者は農業現代化の一環として、空中にドローンを飛ばしています。オランダのコーバス・ドローンズ(Corvus Drones)社は、苗木から収穫物まで農作物を監視できるシステムを開発しました。これは、農業従事者が手作業で農作物を検査する代わりにドローンが上空を常に飛び回り、葉の大きさやそれぞれの成長段階をチェックし、害虫発生を早めに知らせるというものです。

同社のドローンにはさまざまなセンサーやカメラが搭載できるため、多様な農作物の監視に活用できます。ドローンが温室内を飛び回りながら収集したデータは、表やグラフの形で農業従事者のメールボックスに送信されます。データから、農作物の成長状況、病気やストレスの兆候の有無などを知ることができます。

ドローンによる測定は、人間による目視検査に比べて数倍高い精度と安定性を備え、空中監視を活用することで、農業従事者の作業時間を大幅に短縮できる、と同社はコメントしています。

3. 昆虫サイズのドローン


重量物空輸ドローンは大型物の輸送に真価を発揮しますが、小型のドローンにも優れた有用性があります。マサチューセッツ工科大学(MIT)のケビン・ユフェン・チェン(Kevin Yufeng Chen)助教授は、従来の設計品では到達不可能な領域に到達できる、小型の昆虫サイズドローンを開発しました。

この小型ドローンはわずか0.6グラム、マルハナバチ程度の重量です。カーボンナノチューブ技術を使い、「羽根」を毎秒約500回羽ばたかせることができます。将来、この小型ロボットを使って農作物の授粉や、機械類の内部検査などができることをチェン氏は期待しています。チェン氏はMITニュースで次のようにコメントしています。

「タービンエンジンの検査を想像してください。[閉じられた空間に]ドローンを飛ばすことで、小型カメラでタービンプレートの亀裂を確認できるのです」

ハチサイズのドローンは、人命救助にも役立ちそうです。いつの日か、災害後の救助活動に活用され、大型ドローンでは到達できない場所の死傷者を捜索できるようになるのかもしれません。

(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Simon Read

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