ビジネス

2022.07.11 15:30

ドバイ免税店は中国からの旅行客が戻らないにもかかわらず売上約2120億円超えか

安井克至

中国人客不在で極東地域は不振


上半期、ドバイデューティーフリーの4大地域市場のうち、インド亜大陸の旅行者向けの売上は1億4900万ドル(約200億円)で2019年同期比1.7%増、欧州は1億2600万ドル(約171億円)で2019年同期比0.6%減、中東は1億2900万ドル(約180億円)で5.6%減となった。

しかし、2019年のドバイデューティーフリーにとって最大の地域であり、同年の売上高が1億8800万ドル(約255億円)だった極東は、上半期に78%という大幅な落ち込みを見せたままだった。その多くは、中国人の消費がなかったためだ。パンデミック前、中国人旅行者はドバイ国際空港の乗客の4%にすぎなかったが、ドバイデューティーフリーの売上高の17%を占めていた。

店舗開発を継続


シダンビは「中国人がいなくなったことで、特に影響を受けたブランドがある」と述べ時計、化粧品、スキンケアのカテゴリーでは、売上の最大40%が中国人消費者によるものである可能性があることを指摘した。この問題に対処するために、ドバイデューティーフリーが最初に行ったのは、これらのブランドの在庫を6~12カ月かけて半分に減らすことだった。

「しかし同時に重要なことは、店舗開発を継続し、ショッピングの提案を改善するために投資することだった」とシダンビは話す。「中国人以外の乗客が戻ってきたときにもそれが役に立った」。これらの投資にはカルティエ、ディオール、ルイ・ヴィトンなどのブティックの建設が含まれており、空港の高級イメージを維持するのに役立っている。

シダンビはいう。「ここには旅行関連小売業者にとっての教訓がある。危機的状況に陥ったとき、絶対にすべてにブレーキをかけるべきではない。どんな危機も、たとえパンデミックであってもいずれは終わりがくる」。

この戦略は、ファッション製品カテゴリーで最も成果を上げている。2021年上半期、ファッションは売上高に占める割合を13%にまで高め(2019年上半期は6%)、美容、ワイン、スピリッツに次ぐ3番目に重要な商品区分となった。

翻訳=溝口慈子

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