ロンドンのデジタル資産仲介会社GlobalBlockのマーカス・ソティリウは、フォーブスの取材にピーター・ティールが支援するVauldなど10社近くが、過去1カ月間に苦境に陥ったことを指摘し、「この先も、痛みが続くはずだ」と述べた。
現在の弱気市場が、ビットコインを80%も暴落させ、何百もの新興のトークンを破滅させた2018年の冬に匹敵するかどうかは誰にもわからない。しかし、ソティリウはこの低迷が最大で12カ月続くと予想している。
一方で、クリプト投資会社Wave Financialのマテオ・ダンテ・ペルッチョ(Matteo Dante Perruccio)は、「今回は様子が違う」と話す。彼は、テスラやゴールドマンサックス、モルガンスタンレーなどの大手機関投資家たちが、パンデミック時にこの分野に資金を注いだことを指摘し、「市場が正常に戻れば、この分野はより持続的で健全なものになり、投機が減るはずだ」と述べている。
暗号通貨市場全体の時価総額は、2021年11月のピーク時に3兆ドルを突破したが、6月中旬には1兆ドルを割り込み、CoinGeckoによると、今年上半期に約9500億ドルが吹き飛んだ。上位の暗号通貨であるビットコイン、イーサ、BNBは、それぞれ過去最高値から70%、75%、65%も急落している。
市場の急落に直面した暗号通貨企業は、過去5週間足らずの間に2000人以上の従業員をレイオフしており、コインベースは6月14日に全社員の約18%にあたる1180人を解雇した。また、6月にはウィンクルボス兄弟が設立した取引所Geminiが従業員1000人のうち約10%を削減すると発表し、Crypto.comとBlockFiもそれぞれ約260人と170人の削減を発表した。
投資家の資金も記録的なペースで流出中でCoinSharesによると、6月17日の週の流出額は4億2300万ドルに達し、今年の流入額を事実上すべて帳消しにした。一方、バンク・オブ・アメリカは、暗号通貨の利用者数が、11月のピークから50%以上も急減し、50万人未満になったと報告した。
そんな中、暗号通貨レンディングのCelsiusは、「極端な市況環境」を理由に6月13日に顧客口座間の引き出しと転送を一時停止すると発表。他の企業もそれに続き、バベルファイナンスやコインフレックス、ボイジャーはすべて引き出しを凍結した。このため、数十億ドルもの投資家の資金がアクセスできない状態になったとされた。