イーロン・マスクが主張する人口崩壊と「反移民的思想」の関係

Getty Images

世界一の富豪であるイーロン・マスクは、自身が経営する人間の脳とマシンをつなぐ神経インプラントを開発する企業「ニューラリンク(Neuralink)」の女性幹部との間に双子をもうけたという報道が、事実であることを認めた模様だ。

マスクは7月7日、「私は、人口減少の危機に立ち向かうために最善を尽くしている」とツイートし、「出生率の減少は人類が直面する最大の危機だ」と投稿した。このツイートは、ビジネスメディアのInsiderがマスクとニューラリンク幹部のシヴォン・ジリス(Shivon Zilis)が、双子の氏名についての書類を裁判所に提出したと報じた翌日に投稿された。

マスクは以前から米国の出生率の低下に懸念を示しており、5月24日にはグラフを添付したツイートで「米国の出生率は約50年間、持続可能な最低水準を下回っている」と述べていた。彼は、今回の双子を含めると合計9人の子供の父親になっている。

ニューラリンクのジリスは2017年から同社のディレクターを務めており、ブレイン・マシン・インターフェイスの開発に関わっている。

マスクは7日のツイートに付け加える形で、「火星の人口はまだゼロ人だ」と投稿し、火星の植民地化についても言及した。

マスクは、最初の妻のジャスティン・ウィルソンとの間に6人の子供をもうけたが、そのうちの1人は2002年に死亡していた。彼は、元パートナーの歌手のグライムスとの間にも、2020年と2021年に2人の子供をもうけていた。

米国の人口は移民で増加した


マスクが主張する人口崩壊(popluation collapse)論に批判的な人々は、彼の考え方が人種差別的で反移民的な思想に根ざしていると述べている。米国の女性1人当たりの総出生数は、1960年から2020年にかけて、3.67人から1.6人に減少したが、同時期に米国の人口は1億7900万人から3億3100万人にほぼ倍増した。近年の人口の増加は、移民によるところが大きい。

出生率の減少に対する恐怖心は、白人の社会が有色人種に乗っ取られるという「グレート・リプレイスメント(Great Replacement)」と呼ばれる陰謀論の信奉者の間で特に強いという指摘もあがっている。

マスクは、このような反発の声についてはコメントしていないが、2019年には、自身の人口減少についての懸念が、反移民的な思想とは関係がないと述べていた。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事