ライフスタイル

2022.07.10 16:00

デザインするもの、つくるものすべてに理由がある。エルメスのレガシー

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は7月号(5月25日発売)より、「エルメス」のシューズ、ハット、スカーフをピックアップ。


小暮昌弘(以下、小暮):撮影用にお借りいただいたアイテムを見ると、すごく爽やかで、海に行きたくなりますね。

森岡 弘(以下、森岡):フランス、いや世界を代表するメゾンの「エルメス」です。

小暮:憧れのメゾンですね。いつの時代も古びて見えない。永遠の魅力がある。

森岡:長く続いたコロナ禍で、ファッション離れが叫ばれていますが、このメゾンは別格。それどころか、ますます存在感が高まっていると思います。

小暮:外に出ることがままならない時期が続きましたからね。だからこそ手に入れるもののクオリティやブランドの姿勢が昔以上に問われる時代になりました。

森岡:個人的な意見ですが、最近、年を重ねるごとに「エルメス」で欲しいものが増えてきたように思えます。

小暮:確かにそれは言えますね。

森岡:それは「エルメス」でメンズのアーティスティック・ディレクターを務めているヴェロニク・ニシャニアンの存在もあると思います。

小暮:素敵な女性ですよね。彼女、もう30年以上、同じポジションにいらっしゃる。年2回のプレタポルテ・コレクションだけでなく、靴やアクセサリー、ウォッチまで、メンズ全体のデザインを見ている。創業デザイナー以外で彼女ほど長い期間、同じメゾンに手がけている人はいないのでは。

森岡:だからデザインの根底に流れるものに統一感があるのでしょうね。彼女のコレクションには基本型があると思います。攻めているデザインもありますが、それでも頑張れば着られるような手の届く範囲のものが多い。それに「エルメス」のデザインは、どれも色使い
が素晴らしい。有機的な自然を感じる色使いが新鮮さをもたらします。

小暮:わかりやすいのは今回紹介するモカシンシューズでは。何色も使われた、いわゆるクレージーパターンのデザイン。使われている色はどれもパステル調で、美しい。

森岡:いままでのカジュアルシューズには絶対ないカラーリングでしょう。

小暮:アメリカのブランドだったら、わかりやすく赤×紺×白のトリコロールでつくるところを、こんな洗練されたカラーリングに仕上げてしまう。
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文=小暮昌弘

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