転倒事故の天才エンジニア、「絶対に横転しない」自転車で特許

Wonderfulengineering

アイザック・ニュートンが若かりし頃、リンゴの木の下に座っているときに、頭にリンゴが落ちてきた、という話を思い出してみてほしい。この出来事からニュートンはひらめき、万有引力の法則を導き出した。だが、これから紹介するのはそのことではなく、若く聡明なエンジニアの話だ。彼は自転車で転び、複数箇所に軽傷を負ったものの、そこから、初めて絶対に転倒しない自転車作りに着手したのである。

ハプニングは発明のトリガー


その中国人の天才エンジニアは、余暇を利用して自動運転自転車の設計と製作を手掛けた。ふたつの車輪で自立し、さらには障害物を検知して回避できる。アメリカの電気自動車大手のテスラから発売されていてもおかしくないような自転車だ。

開発者であるヂィーフェイ・ヂィンさんは、2019年に北京の清華大学の科学者が手掛けた自動運転自転車に、自身のアイデアを盛り込んだ。彼はかねてからこの構想に興味を持っており、自ら顔から転倒したことで、初めて独自の自転車を開発したいという気分を刺激されたのだった。


Wonderfulengineering

わずか4カ月で完成。システムの特許申請も


ヂィーフェイ・ヂィン氏は、週末や空き時間を利用してわずか4カ月でこの自転車を完成させた。若手エンジニアとしては信じがたいほど素晴らしい自転車に仕上げたのである。加速度計や姿勢制御装置など高度なシステムが搭載されており、微妙な動きを監視して、片側に大きく傾いても絶対に倒れないように調整できる仕組みになっている。

つまり、ふたつの車輪で自律しており、左右にぐらつくこともないのだ。システムはリチウム電池だけで駆動しており、片方のハンドルにレンガ並みの重い荷物を引っかけても、びくともしない。左右で重さに差があっても完璧にバランスを取り、車体を水平に保つ。自ら開発したこのシステムの特許を、彼は申請すべきだ。

この部分が最も優れている、というわけでもないのだ。この自転車には、奥行きと色の情報を検知するカメラと、離れた場所にある対象物の形や距離をレーザー光で測れるライダー(LiDAR)というセンサーが搭載されており、進路上の障害物を検知してよけられるようになっている。

以下の投稿動画で彼の設計と完成品を確認できる。



ヂィーフェイ・ヂィン氏のYouTubeチャンネルは、他にも数多くの興味深いプロジェクトを紹介している。動画からは、豊かな才能と、面白いものを作りたいという情熱が伝わってくる。彼は、2018年に中国の電子科技大学を卒業後、ファーウェイの天才少年プログラムにも参加している。また、中国の大手ソフトウェアメーカー、オッポの人工知能プログラムでも活動中だ。


(この記事は、英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」から転載したものである。)

翻訳=神原里枝 編集=石井節子

ForbesBrandVoice

人気記事