経済・社会

2022.07.12 07:30

NATO加盟国、対実質GDP比で見る国防費支出

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米国のドナルド・トランプ前大統領は在任中、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国は国防費をもっと増やすべきだとよく口にしていたが、ロシアによるウクライナ侵攻で、その話題に再び注目が集まっている。

NATOが2022年6月27日に公表したデータで、多くの国では、国防費支出の対GDP比が2020年に高水準に達したのち、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続く2021年に低下へと転じたことがわかった。2021年と言えば、ちょうどトランプ政権が終わりを迎えた時期だ。

2022年には国防費支出が再び増加するとみられる国がある一方で、国防費支出の対実質GDP比がさらに低下すると予測される国もある。たとえば、NATOへの貢献度が高いフランスやドイツ、イタリア、カナダだ。

NATOにおける国防費支出は、(総額、対GDP比ともに)2014年より現在のほうが多い。ただ、NATOは2014年に、加盟各国の国防費支出の対GDP比を、2024年をめどに2%以上に引き上げるという目標を立てたが、多くの国がいまだ達成できていない。

NATO加盟国における国防費の対GDP比(2022年)


国:実質GDPに占める比率

米国:3.47%
英国:2.12%
ドイツ:1.44%
フランス:1.90%
イタリア:1.54%
カナダ:1.27%
ポーランド:2.42%
オランダ:1.65%
トルコ:1.22%
スペイン:1.01%
ギリシャ:3.76%
ノルウェー:1.55%
ベルギー:1.18%
デンマーク:1.39%
ルーマニア:1.99%
ポルトガル:1.44%
チェコ:1.33%
ハンガリー:1.55%
スロバキア:2.00%
クロアチア:2.03%
リトアニア:2.36%
ブルガリア:1.67%
ラトビア:2.10%
エストニア:2.34%
スロベニア:1.22%
ルクセンブルク:0.58%
アルバニア:1.62%
北マケドニア:1.78%
モンテネグロ:1.75%
NATO加盟国のアイスランドは軍を保有していない。

国防費支出を減らし、対GDP比2%の目標を達成していない国が最も多いのは西欧諸国だ。たとえば、上述のフランス、ドイツ、イタリア、カナダに加え、オランダ、トルコ、スペイン、ノルウェー、ベルギー、デンマークは2%に届いていない。

それに対して、欧州大陸で戦争が再発するのではないかと、かねてから神経を尖らせてきた東欧諸国は、2%の目標を達成している国が多い。国防費支出の対GDP比が2%を上回っている加盟国のうち、米国と英国に次いでNATOへの貢献度が大きいのはポーランド(2.42%)だ。

次いで、ギリシャ(3.76%)、スロバキア(2.00%)、クロアチア(2.03%)、リトアニア(2.36%)、ラトビア(2.10%)、エストニア(2.34%)と続く。NATO新加盟国の北マケドニア(2020年加盟)とモンテネグロ(2017年加盟)ですら、国防費支出の対GDP比はそれぞれ1.78%と1.75%で、多くの既加盟国を越えている。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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