経済・社会

2022.07.09 06:00

米国の中絶禁止、若者の「選挙離れ」加速させる可能性も


「投票の呼びかけ」では不十分


ジョー・バイデン大統領は連邦最高裁の判断が示された直後、「この秋の投票は、『ロー(対ウェイド)』を巡るものになる」と発言した。そして、民主党の指導部は、中間選挙での「投票を呼びかけて」いる。

バイデン政権はその後、経口中絶薬を入手しやすくするなどの対応を取ることも明らかにした。だが、「投票」を強調したことついては、批判の声が高まっている。民主党議員の多くも、「政府の対応は不十分だ」と厳しい見方を示す。

コリ・ブッシュ下院議員(ミズーリ州)は米紙ワシントン・ポストに対し、有権者たちからは「『すでに投票したけれど』と言い返されるだけだ」として、「『とにかく投票を、投票で問題の解決を』とは言えない」とコメントしている。

米調査会社モーニング・コンサルトと政治サイトのポリティコが連邦最高裁の判断の直後に実施した世論調査では、11月の中間選挙に「高い、または非常に高い」関心を持っていると答えた民主党支持者の割合は、前週の48%から56%に跳ね上がった。

だが、共和党支持者の58%に追いつくまでには至っていない。有権者の一部が、中絶権の強化に向けた民主党の行動は不十分だとして、投票への意欲をなくす可能性もある。

ポリティコは、「民主党のストラテジストの中には、若年層を中心に、有権者の一部が中間選挙への関心を失い、投票に行かない人が増えることになるのではと危惧する人たちもいる」と伝えている。

編集=木内涼子

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