ツイッターの「字幕自動表示機能」、今後どうなる?

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ツイッターが動画への「字幕の自動表示機能」導入が少し前に話題になったが、マスクCEO就任でさまざまな方針改革が予想される中、字幕機能のこれからも注目されるところだ。

「字幕」の重要性


SNSとはそもそも、世界中の人々がワールド・ワイド・ウェブ上で問題なくつながることを目指したものだ。ブランドや企業が、自社商品を披露したり、見込み客の関心を引いたりするためにSNSを活用し続ける理由もそこにある。要するに、SNSには、ほかの媒体では得られない恩恵が山ほどあるということだ。

とはいえSNSへのアクセシビリティは、とりわけ障害を持つ人にとってはまだ不十分な面もある。インターネットをどの程度使いこなせるかは、ユーザー間で差があるのが現状だ。例えば耳が聞こえづらい人には、健常者と同じように楽しめないコンテンツがある。それが、ツイッターが動画に字幕を自動表示する機能を導入した理由のひとつだ。

動画や音声のコンテンツを何の障害もなく存分に楽しめる人には、字幕のありがたみが感じられないかもしれない。しかし、聴覚に問題を抱えている人にしてみれば、これは大変革だ。また、ツイッターをはじめとするSNS運営会社から見ると、字幕表示はこれまで逃してきた新たな層を開拓するための効果的な手段でもある。

字幕の役割は、耳の聞こえない人への補助だけでない。字幕によって投稿の内容が理解しやすくなる人も多いだろう。何よりも、ツイッターはこの機能を搭載することで、WCAG(ウェブコンテンツを障害のある人も使いやすくするためのガイドライン)やADA(障害を持つアメリカ人法)をさらに遵守する会社になるのだ。


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企業にとってアクセシビリティが欠かせない理由


ウェブにおけるアクセシビリティの重要性は、かつてなく増している。必要な商品やサービスを求めるためにインターネットに頼る消費者は増える一方だ。つまり、アクセシビリティは企業にとって集客・収益を得るために不可欠な要素だといえる。

一方で、字幕生成ソフトウェアなどのアクセシビリティ向上ツールを使わずにコンテンツを作る企業は、対象顧客に誤ったメッセージを送ることになりかねない。その場合、巨大市場への参入機会が事実上断たれることになりかねない。

ツイッターも企業である以上、字幕という補助機能の導入は、単に倫理上の流れに乗ったのではなく、実利を重んじた選択でもある。この機能だけで、あらゆる人を受け入れるインクルーシブなブランドだというメッセージを発している。その結果、既存のユーザー層は今まで以上に積極的に利用するようになり、一方で障害を持つ層も魅力を感じやすくなるのだ。
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翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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