ビジネス

2022.07.11

苦境の暗号通貨取引所が「休眠アカウント」に手数料請求へ

Getty Images

暗号通貨市場が暴落に襲われる中、取引手数料を収益としている取引所は、収入の減少に直面している。そんな中、最も歴史が古い暗号通貨取引所の1つであるBitstampの英国の子会社のBitstamp Limitedは7月6日、12カ月以上取引が無い残高が200ユーロ以下のアカウントに対して、8月1日から非アクティブ手数料を請求し始めるとユーザーに通知した。

同社は、月額10ユーロの手数料を、ユーロもしくはデジタルアセットで請求する予定という。手数料はまずユーロで課金されるが、ユーロの残高が足りない場合は他の法定通貨や暗号通貨で請求される。暗号通貨の取引を行ったり、Bitstampsの報酬プログラムのBitstamp Earnに資産を預けた顧客は、手数料の支払いを免れる。米国のBitstamp.USの顧客は、この手数料の対象には含まれていない。

「手数料が好きな人は存在しないし、私たちも本当はそうしたくない。しかし、非アクティブなアカウントを維持するためにはコストがかかり、我々は素晴らしいサービスを提供し続けるために、この決断を下した」と、ルクセンブルグに本拠を置く同社はブログの投稿で述べている。

このような制度は、暗号通貨の取引所では比較的新しいものだが、従来の銀行の世界では一般的なことだ。また、この種の手数料を徴収する取引所はBitstampだけではない。Crypto.comはフィアットウォレットに非稼働手数料を課しており、Voyager DigitalはMastercardとのパートナーシップで、12カ月間カードを使用しないと6.95ドルの手数料を請求していた。トロント証券取引所に上場するVoyager Digitalは5日深夜にチャプター11の破産申請を行った。

Bitstampはフォーブスの世界の暗号通貨取引所のランキングで29位に入り、2022年3月現在で53のコインと134のマーケットを提供していた。

ビットコインの価格が7万ドルに近づいた2021年後半に、Bitstampの1日の取引ボリュームは10億ドルを超えたが、その後は90%近く下落している。データプロバイダーのNomicsによると、同社の直近24時間の取引ボリュームは約1億6500万ドル(約220億円)となっている。

編集=上田裕資

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事